宇宙飛行士の野口聡一さんらを乗せた米民間宇宙船「クルードラゴン」が、17日午後1時ごろ(日本時間)、国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングに成功した。
打ち上げロケットとして使われたのは、アメリカ合衆国の民間企業・スペースX社が作った全長70メートル、直径3.7メートル、重量549トンの「ファルコン9」だ。「ファルコン9」に搭載されたカプセル型宇宙船「クルードラゴン」は、乗員室4座席、非常脱出用スラスター8基のほか熱シールド、ソーラーパネルを搭載している。


このニュースにニューズウィーク日本版編集長・長岡義博氏は、野口さんらが着用していた宇宙服に着目。「宇宙服といえば、大きなヘルメットにパイプのようなものがいっぱいついているイメージだったが、今回の宇宙服はかなりカジュアル。宇宙船も飛行機のビジネスクラスのような印象。民間で行けるということは、どんどん宇宙が身近になっているように感じる」と語った。
「クルードラゴン」はISSへ宇宙飛行士を往復させられる民間初の宇宙船だ。長岡氏は「宇宙開発は防衛軍事と密接な関わりがあり、ロケットとミサイルがほぼイコールだった。だから(宇宙開発を)国がやることが当たり前だと考えられてきたが、技術革新が進んで、民間に分けられるものは民間に頼むべきじゃないかという見方も広がってきた」と時代の移り変わりに言及。その上で「民間に任せられるものは任せるという考え方は合理的だ」と意見を述べる。
「7~8年前にアメリカのヒューストンにあるジョンソン宇宙センターを見学したことがある。1969年にアポロ11号の打ち上げと月面着陸で使ったコンピュータの処理能力は、今我々が使っているiPhone1台分の処理能力と同じと説明された。技術はものすごく進歩している」(ニューズウィーク日本版編集長・長岡義博氏)

また、長岡氏は「冷戦時代は米ソの深刻な対立があったが、1991年に冷戦が終わった後、アメリカとロシアは対立しつつ、宇宙開発でアメリカがISSに要員を送るロケットをロシアに頼る微妙な関係が続いていた。NASAが低軌道のロケット事業から撤退したためだ。自国の民間企業がロケットを作ってくれるのであれば、ロシアに頼まなくても良くなるので、アメリカにとってはその方が合理的だろう」とも述べた。
宇宙に向けて発展していく民間の科学技術。10年ぶり3度目の宇宙となる野口さんは、半年間に渡りISSで実験などを行う。
(ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)
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