「女性の健康の保護、産まれてくる子どもの福祉が基本理念」与野党が提出した生殖補助医療法案の目的とは
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 不妊治療の保険適用拡大へ向け政府が検討を進める中、自民、公明、立憲民主など与野党5党が国会に提出した「生殖補助医療法案」の審議がスタートした。

・【映像】与野党が提出の”生殖医療法案”とは

 ポイントは、夫婦以外の第三者から提供された卵子や精子で出産した女性を母親と法律で認めるという点。つまり、不妊治療による出産で、血縁関係がない場合でも「親子」として認めるということだ。日本には“子どもを産んだ女性が母親だ”という認識があったため、「母親」という存在が法律で定義されておらず、このことが2000年頃から議論されるようになっていた。

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 今回の法案に携わる公明党の秋野公造参議院議員は「親子関係が裁判で争われるようになる中、生殖補助医療が現実のものとなっている。産まれてくる子どもの福祉を大きな基本理念とし、親子関係が不安定にならないよう、制定を目指している。親子関係を定める民法が生殖補助医療の想定をしておらず、物事を考えるときの根拠がないから、基本理念を定めようとしたということ。これが狙いだ」と説明する。

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 「平成15年頃、厚生労働省や法務省などにおいて検討がなされたが、世間のコンセンサスが得られていないといった背景から、その後は全く検討が進んでいなかった。自民党と公明党が議員立法を目指し始めたのは2013年だが、これが了承を得られるまでに3年かかった。やはり生殖補助、あるいは親子関係に関わることについては多様な考え方があり、なかなかコンセンサスを得るのが難しかったということだ。2016年以降は野党の皆さまにも働きかけをし、5会派で提出するに至った。5会派の発議者は党内でコンセンサスを得ようと努力をしてくださった。まさにその汗の結晶だ。16日に法案の提出に至ったこと。そして17日に法案の審議入りに入ったことを、大変嬉しく思っている」。

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 一方で課題も残っている。ひとつは産まれてきた子どもが卵子や精子の提供者情報を知る「出自を知る権利」についてだ。そして、もうひとつが妻以外の女性が出産する「代理母」を認めるかどうかだ。

 秋野議員はこうした点について「2年間を目途に検討をするということを、明確に国会の責任として定めたのが今回の法律の肝でもある」と話す。

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 「代理懐胎の話であるとか、出自を知る権利についての考え方など、やはりコンセンサスが得られていない課題が存在するし、その前提となる仕組みさえもないのが現状だ。例えば出自を知る権利についても、提供者を同定できるまでの情報も認めるのか、遺伝病に関わる情報に留めるのかといった論点がある。そして、それらの情報を持っているのは医療機関だが、現状ではカルテの保存期限は5年になっているので、開示の在り方、保存の仕方にも関わってくる。あるいは特別養子縁組など、追跡できないことを前提としたような仕組みもあることを踏まえれば、ここだけで出自を知る権利の結論を出してしまっていいのかということも考えなくてはいけない。まずはそれらについてコンセンサスを得られるところまできちんと議論をして固めて、一歩一歩検討を促しながら前に進める方がいいだろうというのが、5会派の発議者の考えだ。さらに今回の生殖補助医療の基本理念には、女性の健康の保護もある。その観点から代理懐胎をどう考えるかという形でも議論を進めていきたいと願っている」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

与野党が提出の”生殖医療法案”とは
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