低身長症の人たちのステージは差別を助長する“見せ物”なのか? 障害者とエンターテインメントを考える

 中国雲南省のテーマパークが、低身長症の人を集めたステージ「小人国」を開催、論争を巻き起こしている。

 「小人国」を訪れたことのあるカメラマンの山田浩平さんは「楽しませようと思って歌っている感じがしたし、それが伝わって見ている方も楽しんだ。前の方に出て行って一緒に踊ったり。セルフィーで写真撮ったり。家族みんなで楽しめる遊園地のような感じの場所だった」と振り返る。

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 とはいえ、こうしたエンターテインメントのあり方が、“差別の助長につながる”との批判を浴びているのも事実だ。

■幸せだと感じているのなら、それは雇用の場にもなっている

低身長症の人たちのステージは差別を助長する“見せ物”なのか? 障害者とエンターテインメントを考える

 「私だったら、と思うと複雑な気持ちになる。そこで働くのを幸せだと感じているのなら、それは雇用の場にもなっているわけだし、いいのではないか。“ここしか働く場所がないから”、あるいは“小さいからそこで働けと言われた”という理由であれば複雑だ」。

 そう話すのは、低身長の体型を活かし、舞台やドラマ、映画など様々な作品に女優として参加、ファッションモデルとしても活動する後藤仁美さんだ。幼い頃からアイドルにあこがれていたものの、自身の体型から「恥ずかしくて、周りに“なりたい”と言うこともできなかった」。それでも知人に声をかけられ、数年前から活動を開始。さらにパートナーの支えもあり、SNSなどで同じ低身長症の人へのアドバイスやなど、障害を理解してもらうための発信も行っている。

低身長症の人たちのステージは差別を助長する“見せ物”なのか? 障害者とエンターテインメントを考える

 「電車に乗った時とか、外を歩いている時に“なんで?”みたいな感じでじろじろ見られると心苦しくなる。昔は悪い言葉ばかり目についてきたが、最近では“かわいい”と小さい子に言われることもあるし、知らない人が見るのは当たり前なのではないかと、受け入れられるようになった。ネットでは色々なことを言われることもある。でも、そういう人たちは私のことを知らないし、“お前に何がわかる!”と思って(笑)」。

 活動をしていて感じることについて後藤さんは「ドワーフ・ファッションショーといって、世界中の低身長症の人が出るファッションショーが日本で開催されたときに参加したことがある。フランスやイタリアやアメリカで開催されたときは、それぞれの国からお金が出たりとか、会場を無償で貸してくれたと聞いた。日本ではまだまだそういう意識がなく、海外から来たひとは悔しかったと言っていた」と話した。

■エンターテインメントとして質が高いものを提供しようという気持ちも重要

低身長症の人たちのステージは差別を助長する“見せ物”なのか? 障害者とエンターテインメントを考える

 リオパラリンピック閉会式でパフォーマンスを行った車椅子ダンサーのかんばらけんたさんは、29歳の時にテレビのニュースでパフォーマンス専用の車椅子を見たことを機に、パフォーマーの道を歩み始めた。

 「自分の体の特徴にマッチするのが、ステージ上のパフォーマンスだというのに気付いて、すごく楽しくなって突きつめていった結果、今に至っている。下半身は全く動かないが、体重が30kgくらいしかないので、逆立ちができたり、普通の人にはできないような、無重力の中で浮いている感じの表現ができる。つまり、車椅子の方が誰でも踊れるような表現を目指しているわけではなく、僕にしかできない表現はなんだろうというのを突き詰めた結果だ」。

 その一方、「日本では健常者でもプロとしてダンス一本でやられる方が少ないので、障害がある人になるとかなり状況は厳しいと思う。一方、ヨーロッパでは障害者の雇用率を上げるためにアーティストも支援するということも多い」と指摘。

低身長症の人たちのステージは差別を助長する“見せ物”なのか? 障害者とエンターテインメントを考える

 その上でかんばらさんは「例えばプロレスラーについて考えてみると、低身長症のプロレスラーがコミカルな動きで笑いを取ることが問題にされがちだが、巨人症の方が戦うのは迫力があるからと問題にならない。あるいはスターバックスさんが聴覚障害の方々をスタッフとして集めた店舗があるが、それは見せ物にしているとして問題視されることはない。中国の問題についても、やはり出演者の方の目線と、お客さんの目線の二つが大事だと思う。まず出演者が自ら望んでいるのか、正しいお給料をもらっているのか。それが分からない時点で批判するのは違うと思う。また、ちゃんとエンターテインメントとして質が高いものを提供しようという気持ちも重要だと思う。障害があるからレベルが低くても許されるだろうという、プロ意識を感じない方も一部いるとしたら、それは“見せ物”と言われてしまっても仕方ないと思う。そしてお客さんの目線で言えば、純粋に楽しむというよりも差別的な意図で来られているお客さんが一定数いるのであれば、それはコンセプトを変える必要があると思う」と話した。

 障害者アートの取材も手掛けてきたノンフィクションライターの石戸諭氏は「かんばらさんの活動などを見ていて思うことだが、こういうものはもっとメジャーになっていいし、スポットが当たるようになってほしい。特に日本では“見せ物にするな”というような、優しい言葉で覆い隠してしまいがちだ。そうではなく、僕たちも含め、周囲がもっとお金のとれるエンターテインメントにしていくという工夫が足りないから、こういう批判が起きてくる」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

障害を生かした表現は"差別助長"に繋がる?
障害を生かした表現は"差別助長"に繋がる?
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