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(秋山に勝った遠藤はこの表情。渾身の勝利だ)

 DDT恒例のシングルリーグ戦・D王グランプリが、11月22日の後楽園ホール大会からスタートした。主力7名×2ブロック、14選手によるリーグ戦。今年は他団体からのゲスト参戦がないのだが、それは現在のDDTの層の厚さの証明でもある。とりわけ若い世代の躍進が著しく、開幕戦では上野勇希が先輩の樋口和貞に見事な勝利。この試合はUNIVERSAL王者とタッグ王者のチャンピオン対決でもあった。

 他にも佐々木大輔vs竹下幸之介など熱戦の連続となったリーグ初戦。各選手の気合いがそのまま出たような試合の中で、メインに登場したのがKO-D無差別級王者の遠藤哲哉だった。対戦相手は秋山準。全日本プロレスからレンタル移籍して以来、無敗のままリーグ戦にエントリーしてきた。11月3日の大田区総合体育館大会では、新世代エースの竹下幸之介をも下している。DDTという新しい環境で刺激を得たのか、51歳の秋山は“一歩引いたポジションのベテラン”ではなく“最前線の強豪”として蘇生したと言っていい。

 そんな秋山との開幕戦でのマッチアップを望んだのは遠藤自身だった。初戦で秋山に勝ってしまえば残りの選手は怖くない、優勝したも同然というわけだ。初めてシングルで闘った秋山に「正直、圧倒された部分もある」と遠藤。リング上で対峙し、自分に向かってくるだけで凄まじい威圧感だったそうだ。ヒザ蹴りにフロントネックロック、エクスプロイダーといった技は重厚感に満ちていた。

 秋山の“重さ”に対し、遠藤はスピードと立体的な攻撃で勝負をかける。場外の秋山にはサスケスペシャル。リング内ではスワンダイブ式のフォアアームなどで反撃し、最後はオーバーヘッドキックから旋回式トーチャーラックボム、シューティングスター・プレスとたたみかけて3カウントを奪った。秋山にDDT初黒星をつける大仕事だ。

「本当に勝っちまった。夢みたいだ。でもこれが現実。残りの公式戦も全部いただく」

 言葉だけでなく、その表情からも格別なものであることが分かる勝利だった。インタビュースペースでは「俺が一番(この結果に)ビックリしてるよ」。それだけ秋山は大きな壁だったのだ。

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(様々なパターンで放つヒザをはじめ、秋山の攻撃はどれも重厚だった)

 遠藤は今年、田中将斗と秋山準から勝利。まぎれもない快挙だ。彼にとって永遠のライバルであり、これまで常に先を走ってきた竹下もこの2人には敗れている。そのことからも、今の遠藤の充実ぶりが分かるというもの。

「ちょっとね、調子がよすぎて逆に怖い」

 自分の勢いに、まだ気持ちが追い付いていない状況か。しかしチャンピオンとしてやるべきことはしっかりと分かっている。今回、開幕戦での秋山との対戦を望んだのもその表れだ。

 D王GP優勝者には、KO-D無差別級王座への挑戦権が与えられる。チャンピオンである遠藤が優勝した場合は、夏のトーナメント「KING OF DDT」と同様、遠藤が挑戦者を指名する形だ。指名したい選手はいるかと聞かれ、遠藤は答えた。

「決まってるでしょ。みなまで言わせないで。みんなが考えてる相手を指名しますよ」

 トーナメントで優勝した際、遠藤は挑戦者にケニー・オメガを指名している。その時はコロナ禍でケニーが来日できず、対戦は見送りとなったが、遠藤はまだあきらめていない。かつてDDTをきっかけに飛躍し、世界的スターとなったケニー。遠藤は現在のDDTのトップとして、DDTの歴史、そして世界と向き合おうとしている。若いチャンピオンは、我々が想像していた以上にスケールが大きそうだ。

文/橋本宗洋

写真/DDTプロレスリング

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