妻殺しの汚名を着せられ、逃亡しながら真犯人を追う外科医と、そんな彼を捕らえようと追いつめていく刑事。往年の名作ドラマで、ハリソン・フォード主演で映画化され大ヒットした『逃亡者』。誰もが知るサスペンスアクションを現代の日本でリメイクした作品が、12月5日、6日と2夜連続で放送される。
主人公の外科医、加倉井一樹を渡辺謙が務め、彼を追う警視庁特殊捜査班刑事の保坂正巳を豊川悦司が演じている。追う者と追われる者、手に汗握る緊迫劇。これまで共演したことはあるものの、「すれ違いばかりだった」と笑い合う2人に、本作の魅力を語ってもらった。
渡辺「手錠をかけられるのは俳優人生で初めて」、豊川「僕は手錠をかけるのは初めてかも」
――本作はハリウッド映画をベースにしたスケールの大きな作品ですが、その中で初めてチャレンジしたということはありますか?
渡辺: こんなにアトラクションが多い作品はそうないんじゃないかと思います。わかってはいたけど、現場に入ってから「なんでこれ受けちゃったかな」と思うほど、いくつもいくつも山が来る。で、後半もずーっとそういうのをやっていた上で最後に大きなのが来る。俳優業を40年ぐらいやっているなかで、今回、初めて走る電車の中でアクションをやったんですよ。それも、相手がナイフを持っていて体をぶつけ合って格闘みたいなアクション。動かない電車の中でリハーサルをやったんですけど、実際に電車が動いてく中でアクションというのはなかなかない。もちろん緊張感はあったんですけど、楽しくて。ここまで経験していても、まだ初めてのことってあるんだなと。
豊川: 僕はやったことないですね。止まっている電車の中ではあっても。
――豊川さんは、今回初めてのチャレンジってありましたか?
豊川: 前半のクライマックスにつながっていくところで、排水路でのチェイスがあるんですが、あれははなかなか経験したことがないことでしたね。ものすごく絵になるシーンで、逃亡者の世界観に浸れます。
――渡辺さんは、それこそ昔は刑事ドラマで犯人を追う側を演じられていたりしましたよね。
渡辺: ええ、そう言えば、今回初めて手錠をかけられました(笑)。ずっとかける側でしたから。それに初めて被告にもなりましたし、死刑宣告もされましたし…。手錠ってあんなに不自由なんだって、自分がかけられて初めて知りました。今まで僕が手錠をかけた人、ごめんなさい(笑)。
豊川: 逆に、僕は手錠をかけるのは初めてかも。手錠をかけられるのはありましたし、ハンドルに手錠をかけられたまま車を走らせるというのをやったこともありますし。常に逃げていましたね(笑)。
――ところで、お二人の役どころが逆だったらどうでしょう。
渡辺: 俺、豊川みたいにクールな刑事なんてやれないもん。ドラマとして面白くならないよ。
豊川: ハハハ(笑)
現代版の要素たっぷりの脚本に「本当に面白かった」
――非常に有名な映画の翻案なので、ハリソン・フォードや、トミー・リー・ジョーンズに重ねて見る視聴者もいるかもしれませんね。
渡辺: 僕は重ねて見ようが、若い方が初見で見ようが、どちらでもいいと思います。きっと中盤ぐらいから、そういうことはどうでもよくなると思います。「きっと逃げてくれー」って思うし、一方で「どうやって逃げるんだろう」と気になって。視聴者はハラハラドキドキにギュンギュン入っていくと思いますよ。本当に脚本が面白かったんです。現代に置き換えていても非常に面白かったし、監督とプロデューサーと一緒に、さらに肉付けをして、逆にズバッと削っているところもある。そんなメリハリがいいんじゃないかと。実は僕らもまだ見ていないので、出来上がったものがすごく楽しみなんです。
豊川: ですです。同じロケ場所で撮っているけれど、どう撮られているのかは見ていないので、どうなっているのかなと気になって。
渡辺: 僕がドロドロになって「お疲れさん」と言った後に、入っていってどう撮ったんだろうって。僕もそれがとても気になっている。そこを観るだけでも楽しみでたまらないよね。
テキスト・取材:前田かおり
撮影:You Ishii
テレビ朝日開局60周年2夜連続ドラマスペシャル『逃亡者』
ドラマ『逃亡者』はテレビ朝日系にて2020年12月5日(土)、6日(日)2夜連続よる9時より放送。またABEMAでは、『逃亡者』の配信オリジナルストーリーとして、2020年12月6日(日)夜10時55分より三浦翔平主演の「特別広域追跡班 ~ヒトリヨガリの科学捜査官~」前後編を同時配信する。