11月23日の修斗・後楽園ホール大会は、衝撃的な結末を迎えた。
この日のメインイベントはバンタム級の強豪対決。環太平洋王者の安藤達也と、修斗初参戦となる大塚隆史という新鮮なマッチメイクだ。大塚は修斗と並ぶ国内MMAの有力団体DEEPで2階級を制覇したベテラン。新たな闘いを求め修斗に参戦してきたが「気持ちとしてはDEEPの選手。自分はDEEPで育てもらった」というだけに、対抗戦のような雰囲気もあった。その初戦の相手が“怪物”とも呼ばれる安藤だから相当な刺激だ。
打撃、レスリング、フィジカルなど圧倒的なポテンシャルを持つ安藤に対し、大塚はローキックで先制。何発かヒットしたところで安藤がタックルを放つが、大塚はこれをディフェンス。安藤は2発目のタックルを力なく潰されてしまう。この時点で何か異変が起きていたのは明らかだ。
その後、大塚がグラウンドでコントロールを続けたところでレフェリーが試合をストップ。1ラウンドTKOで大塚の勝利となった。安藤は試合の途中で右足を負傷しており、担架で退場することに。大塚は修斗での初戦でいきなり環太平洋チャンピオンを下してみせた。
インローを蹴った時に“足応え”があったと試合後の大塚。重心が低い安藤はローをカットしないと見ており、足を蹴ることは作戦だったという。安藤がケガをしたこと自体はアクシデントでも、足を狙ったのは偶然ではなかったわけだ。
敵地に乗り込んでの闘いに「燃えますね」と言う大塚は、さらに上の選手との対戦をアピールした。バンタム級世界王者の佐藤将光、同・暫定王者の岡田遼だ。
大塚としては強い相手を求めて修斗に乗り込んでおり、ベルトそのものには興味がないという。
「怖かったらベルトかけなくてもいいんで」
強豪ひしめく修斗バンタム級だが、大会開会式では「修斗、修斗うるさいんで潰します」とも言ってのけた大塚。絶大すぎるインパクトとともに、不敵な宣戦布告をしてみせた。
文/橋本宗洋