昨年から女子戦線が充実してきている修斗にまた1人、強豪がやってきた。DEEP JEWELSのトップクラスで活躍してきたSARAMIだ。
DEEP JEWELSからONEウォリアー・シリーズを経て、今回が修斗初参戦となるSARAMI。対戦したのは修斗の初代女子スーパーアトム級王座決定トーナメントで決勝進出を果たしている杉本恵だ。
レスリングが持ち味の杉本に対し、SARAMIは軽快にパンチを飛ばすと躊躇なく組み付き、外がけでテイクダウンしてグラウンドへ。バックからパンチを当てて“削り”、最後は腕ひしぎ十字固め。1ラウンド決着であり、杉本に何もさせないパーフェクトな試合運びと言ってよかった。相手はレスリングが強いから打撃で、といった戦略勝負ではなく、堂々の正面突破。MMAファイターとしての“力勝ち”だ。
これまでの試合以上に“強さ”を感じさせたSARAMI。本人も試合後「こんなにいい勝ち方ができるとは」と振り返るほどの内容だった。ただそれはあくまで彼女の“地力”のようだ。
「試合までにちゃんと作ってこれた。練習でやってきたことが出たのが大きいと思います」
初の修斗に緊張もあったというが、そんな中でしっかり力を出しての勝利。引き続き修斗に参戦したいというSARAMIには、DEEP JEWELSのタイトルマッチで敗れているチャンピオン・黒部三奈との対戦も期待される。しかし本人は「(次の相手は)黒部さんになってくるんですかね?」と、はっきりとした対戦表明はなかった。
SARAMIは世界を視野にONEウォリアー・シリーズに参戦。日本人を相手に日本でベルトを巻くという目標からは気持ちの面でも離れていた。そういう時にコロナ禍となり、修斗に参戦。そこには黒部がいた、という状況だ。
必然としての黒部戦か、あるいは他のマッチメイクもありうるのか。いずれにせよ、修斗の女子戦線はSARAMIの参戦と初戦のインパクトにより、さらに面白くなってきた。
文/橋本宗洋