「『何もしない』をして」 コロナ禍の“年末年始ブルー”に注意 臨床心理士が勧める「アクセプタンス」
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 新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、政府が「勝負の3週間」と呼びかけた最初の週末。日曜の15時時点の人出は、感染拡大前と比べて大阪・梅田で29.4%減、札幌・すすきので49.8%減、東京・渋谷センター街で25.6%減と、多くの繁華街で人出は減少した。ただ、紅葉が見頃だった京都では、四条河原町で44.9%増と大幅に増えていた(NTTドコモ調べ)。

【映像】コロナ禍の“年末年始ブルー”対処法

 まもなく迎える、コロナ禍で初めての年末年始。臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖氏は「これまで積み重なったものの影響がどのように出るか」と懸念を示す。

 「今年だけに限らず、年末年始は多くの日本人にとって特別感があると思う。今年はコロナの1年だったので、いろいろな生活の変化や心理的な負担で疲れが出てくる一方で、特別だからこそ気持ちや行動が盛り上がってしまう人もいるのではないか。最初はわからない病気に対して不安や緊張に苛まれていたものが、最終的にコロナ慣れしてきて、一部では、もういいやと“コロナやけ”になった結果が、年末にどのように出るかが心配。感染予防の行動、例えばマスクや手洗い消毒が定着してきている一方で、単純作業だけにおざなりになってしまわないか気をつけたい」

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 また、“年末年始ブルー”にも注意を呼びかける。「季節性感情障害(季節性うつ)」は、特定の季節に限り、うつ病に似た症状が現れる脳機能障害の一種。やたら眠い、体がだるい、ぼーっとしてしまう、楽しくない・楽しみがないなどの多様な症状があるという。原因として、日照時間の減少や気温や湿度の変化、遺伝的要因などの影響が指摘されている。

 対処法について藤井氏は、冬は温度変化に対応するため自律神経がフル稼働しがちだとした上で、コロナ禍でいちばん大事なのは「アクセプタンス」だとする。アクセプタンスとは、自分の苦痛や悩みを軽減させるための行動をしない、つまり「『何もしない』をする」ことだという。

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 「アクセプタンス&コミットメント・セラピーという、認知行動療法のひとつの用語。今年は生活の変化やいろいろな負担など気づかないうちに心に積み上がっているものがある中で、年末になると一年の終わりということでセンチメンタルな気持ちになったりする。実際には年末は年が切り替わるだけだが、『今年は何もできなかった』『思い通りにいかなかった』と自己嫌悪に陥ったり、年末年始に1人でいた時にみんなが盛り上がっているのを見て虚しくなったりすることもあるだろう。帰省をどうするのか、年賀状を書くのかといったことも人によっては煩わしく感じる可能性がある。そういうネガティブな感情にとらわれて、なんとかそれを解消しようとすると、逆に蟻地獄にはまるかのように精神状態が悪化して、うつに近い状態になることもある。そういう時に必要なのはアクセプタンスで、自分自身の状況やネガティブな感情を受け入れて、あえて“何もしない”をする心持ちでいることが大事な場合もあると考えて欲しい」

 また、「白い消防車」という心理学的なエクササイズも紹介し、「『これから白い消防車について1分間思い浮かべないようにしてください』と指示を出すと、思い浮かべないにすればするほど逆に考えてしまうということがある。悲しい気持ちや辛い感情をなくそうと思えば思うほど、それに追われる悪循環になることは知られていて、反対に『自分もっと悲しくなれ』『もっと辛くなれ』と開き直ったような心境でいると、軽減していくという理論もある。すぐに解決できるものはすればいいが、解決しにくい曖昧なストレスや感情は、特に年末年始に積み重なったものが現れやすいので、是非気をつけていただきたい。無理にスッキリしようとする必要はない」とした。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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