高い位置から豊富な運動量で相手の動きを封じる鬼プレス、厳しい状況でも冷静な状況判断、そして観客を魅了する圧倒的なテクニック。それらのスキルを武器に、外国人ストライカーに引けをとらないゴールセンスで得点ランキングトップに立つ若き才能に「凄すぎる」と称賛のコメントが寄せられている。
その選手は、あのリバプールで活躍する日本代表の南野拓実と同じ“タクミ”の名を持つ長坂拓海。Fリーグのバルドラール浦安に所属する26歳のアタッカーだ。
ハットトリックの活躍に「長坂大爆発」
ホームにボルクバレット北九州を迎えた浦安は、第1ピリオド(前半)の13分に先制してからは、一度追いつかれならがも徐々に得点を重ねて相手を引き離していく。
2-1で迎えた18分には長坂が前線からプレスを仕掛けると、相手のキーマンであるウーゴ・サンチェスからボールを奪取。体勢を崩しながらも最後は左足で蹴り込んだ。
さらに5-1となった第2ピリオド(後半)8分にはゴール前でこぼれ球にいち早く反応し、今度は右足で狙いすましたコントロールシュートを沈める。このゴールで今季9点目とし、得点ランキングトップタイに躍り出た。実況の加藤謙太郎氏が「ここからもう一点もありますからね」と期待するなか、それが現実のものとなる。
第2ピリオド10分、長坂は1点目と同じように高い位置からプレッシャーをかけにいくと、ウーゴ・サンチェスの縦パスを奪うことに成功。そのまま左に持ち出すと、カバーに入るディフェンダーや距離を詰めてきたゴレイロ(GK)の動きをしっかりと見定め、ここしかないというタイミングで右足アウトサイドのループシュートを放った。
ゴレイロの脇を抜いたシュートは、小さな弧を描いてゴールへ。長坂のハットトリックを予言していた加藤氏は「長坂~タークーミー!!!」と大興奮。解説を務めた元フットサル日本代表の北原亘氏も「ボールを奪って最後はアウトサイドのループシュート。いやすごい!」と長坂のひらめきと決め切る技術を称賛した。さらにABEMAの視聴者も「長坂すごい」、「うま!」、「長坂大爆発」、「得点王じゃん!」のコメントが並ぶ。
長坂のハットトリックの活躍もあり浦安は8-4と大勝。翌日の他チームの結果によって、得点ランキングはトップトップタイに並ばれた。しかし、競い合っている相手が、6シーズンで116ゴールを挙げてきた“フットサルマスター”アルトゥールと、昨シーズンのMVPであり、2シーズンで61ゴールを積み上げた“ロケットランチャー”ペピータだということを考えても、とてつもなくハイレベルな勝負であることは間違いない。
前・浦安監督であり、長く日本代表として活躍してきた高橋健介氏にその才能を見出され、Fリーグ挑戦から4シーズン目を迎える長坂。日本フットサルの次代を担う昇り竜が、いよいよ覚醒の時を迎えている。
文・川嶋正隆(SAL編集部)
写真/高橋学