過去最多を更新し続けている、全国の新型コロナウイルスの重症患者数。現場で治療にあたっている愛知医科大学病院・循環器内科助教の後藤礼司医師は、現状について医師の間でも受け止め方に違いがあると明かす。

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 「受け持っている重症度合いは病院によっても異なっていて、私が勤務しているような大学病院には県からの要請で最重症者が運ばれてきて、“心臓も併せて診てくれ”と言われたりする。一方で、一般の開業医の先生方のところに来院されるのは風邪に近く、しかも回復する若い人たちが多くなってくる。つまり、医師によっても現状に対する印象が全く違うということだ。この点については冷静に理解してほしいし、重症患者を見ている私としては、喫煙者や糖尿病などの持病がある方と、若くてピンピンしている方とでは違いがあるということを知ってほしい」。

 また、逼迫が伝えられる病床数の状況、医療従事者の疲弊については、次のように話した。

 「平均2週間くらいで患者さんを回すのが通常の病院運営だ。一方、コロナの重症で肺炎になってくると、ベッドを埋める期間が2週間を超え、約1カ月近くになってくる。つまり、普通の倍以上、しかも感染病床を埋めることになる。また、回復したあとも一般病床には出られないこともあるので、それが逼迫の原因になっている。私自身は春先から対応にあたっているし、もともと心臓を扱っているので、ICUに対しても全く恐れることはない。むしろ重症の方が燃えるようなタイプでもある。しかし、そういう人間ばかりではないし、実際にはICUの重症管理、心臓や肺の専門家ばかりが重症者を診ているわけではない。場合によっては外科や皮膚科の先生など、全く関係ない方も総動員している。当然、ストレスはかかってくる」。

 4日には、厚生労働省が新型コロナウイルスに感染した10代の女性が死亡したと発表したが、その後、この情報が誤りだった可能性が否定できないと発表している。

 後藤医師は「SNS上の情報やテレビ番組での発信も含め、混乱させられている。例えば死因については、最終的に亡くなった原因がコロナとは別の要因だったとしても、コロナが陽性であればカウントされてしまうということが起きている。そもそも、PCR検査の結果が陽性というのは、単にウイルスが体内にいただけ、という人もいるわけで、心筋梗塞で亡くなったのに、コロナが陽性であればコロナで亡くなった、ということになってしまっているような現状にはものすごく不満を抱いている。実際の医療現場では、考えられる病名のうち、“これが最後に亡くなってしまう原因になってしまった”という風に考える。医師が付けた病名、死因を覆すことはあってはいけないと思う」と指摘した。

 さらに政府が推奨する「マスク会食」、継続の方針が示されている「GoToトラベル」事業に対しては、「感染対策上、顔を触らないというのは基本だし、僕たち医療者は顔を触った後は必ず手指消毒をしている。逆に言えば、そういうことを説明しないまま、食事中にマスクを付けたり外したりしろなんて言うのはナンセンスだ。また、確かにGoToトラベル事業は経済にとっては必要だと思う。ただ、感染管理上、人が移動するというのはやはり危ない。今はGoToトラベルでの感染は200人程度かもしれないが、その後ろに控えている、2次感染、3次感染者たちのことは分かっていない。つぶさにクラスターを追っていったとしても、それがGoToだったのかそうでないのかは分からない状態だ。専門家や医師会でさえ、意見が分かれてしまっている。ここは正しくデータを取り、エビデンスを見た上で解釈をしないといけないと思う。いつまでたってもそういう振り返りをやれていないことが、医療現場にとって一番迷惑になっているということを認識していただきたい」と訴えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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