ボールを奪ってからゴールまでの時間はわずか2秒。文字通り「あっ」という間にイマジネーションに満ちた驚愕の“ゴラッソ”が完成。右足アウトフロントで叩き込んだ芸術的なスーパーゴールに実況も大興奮。ネットでも、「完璧なショートカウンター」、「えぐいてー」と称賛の声であふれ返った。
話題のゴールは、フットサルの日本最高峰『Fリーグ』のボルクバレット北九州と立川・府中アスレティックFCの一戦で生まれた。
試合は今シーズンからディビジョン1に昇格してきた北九州が、9試合負けなしと勢いに乗る暫定2位につける立川・府中を圧倒。第1ピリオド(前半)だけで3ゴールを奪うなど意外な展開となった。しかし第2ピリオド(後半)に入って立川・府中が1点を返すと、試合の流れは徐々に立川・府中へ。
苦しい時間帯が続く北九州だったが、同7分、田村研人のスーパーゴールで再び流れを手にした。立川・府中の横パスをインターセプトした田村は、奪った瞬間にGKとの間合いと仲間の状況を瞬時に確認。援護が見込めない状況を把握すると、右サイドからゴール方向へと侵入し、シュートを選択した。
体をやや右に流しながら、なおかつ右足のアウトフロントで蹴ったボールは、GKのタイミングをずらし、手が届かないように肩口を抜けて外から曲がってゴールの左上へと突き刺さったのだ。
2004年に行われたアジアカップで、中村俊輔が決めた左足シュートを思わせるゴール。実況・福田悠氏も「ゴーーーーーーーラッソ!!」と得意の巻き舌を惜しみなく披露。元日本代表で解説を務めた北原亘氏も「いやーすごい!味方の状況を確認した上でのアウトフロント」と田村の瞬時の判断力に脱帽した。
視聴者もコメント欄で「完璧なショートカウンター」、「うまいなー田村選手ナイスー」、「アウトフロントって何?すごいんだけど」と田村への賛辞であふれ返る。さらに、かつて所属した立川・府中戦でのゴールということもあり「田村、府中に帰ってきて」、「タムケンの恩返しゴール」などのコメントも並んだ。
このゴールで勢いに乗った北九州は7-3で6試合ぶりの白星を手にし、田村自身も2ゴールを奪い、アベマ週間ベスト5のMVPを受賞した。
普段から意表をついたノールックパスなど、イマジネーションに富んだプレーを見せる田村。「フットサル選手はこれくらいできる!ってことをフットサルを知らない人に届けたい!」と自身のTwitterで語るなど、今回のプレーも彼にとっては朝飯前だ。プレーでファンを魅了する“タムケン”から目が離せない。
文・川嶋正隆(SAL編集部)
写真/高橋学