ラッパーのNORIKIYOが、本日12月15日 (火)、新作アルバム「相模川町(さがみがわまち)」をリリースした。
同作は全曲ストーリーテリングで1つの物語となっており、ラップアルバムである今までの彼の作品とは異なり、ラップでストーリーを構成するという新しい切り口で構成された作品だ。
NORIKIYOのホームタウンでもある神奈川県・相模原をモチーフにした架空の町「相模川町」の名前をアルバムタイトルに名付けられたこの作品は、NORIKIYOの実体験から発想を得た物で、「相模川町」を行き交う人達の "物語”となっている。”Based on true story”つまり限りなくノンフィクションに近いストーリーとして描かれている。
これは、2017年の段階で8割の歌詞は出来上がっていた楽曲を、全曲BACHLOGICのトラックで再構築した作品で、全曲NORIKIYOがラップしているがNORIKIYOの気持ちではなく、自らが作り上げた物語の登場人物達の気持ちをラップするという作品とのこと。2009年にリリースされたセカンドアルバム「OUTLET BLUES」以来となる11年ぶりの全曲BACHLOGICプロデュースという事も古参のリスナーには嬉しいニュースだ。
作品の性質上、音源だけでは細部まで理解しにくい部分があるので当初お蔵入りも考えていたとのことだが、NORIKIYOの所属するラップグループSD JUNKTAのメンバーで、現在週刊SPAで「少年・インザフッド」を連載中であり、本日、同漫画の第2巻発売した気鋭の漫画家Ghettohollywood(SITE)の描いたキャラクターを付ける事によって、作品の意図を理解できる様に手を加えたこれまでのJapanese Hiphopにはなかったストーリーテリング形式の全く新しい作品となっている。
さらに、音源の中で登場人物達の声をAKLO、Mr.麿、SALU、田我流、などのラッパーや、 映画監督の富田克也(空族)や女優の伊藤あいみが担当している点も作品に華を添えている。
本日、発売日に合わせ今作の1曲目に収録されている「予告編」のビデオがYouTubeにアップされた。Ghettohollywoodが描いたキャラクターを用いたアニメーションのビデオであり、デイレクターは過去にもNORIKIYOのMVの舵を取った「BABEL LABEL」の有光文弥が担当した。
これから毎週火曜日に曲順に沿ってビデオをアップしていくとの事で、発売日を楽しみにする週刊漫画の様なビデオのリリース形式も興味深い。音源を聴いてからビデオも合わせて楽しめる仕上がりだ。全9曲・9話のこの作品の結末はいかに!?
<リリース概要>
NORIKIYO / 相模川町
タイトル:相模川町
アーティスト:NORIKIYO
レーベル:YUKICHI RECORDS
品番:YRC-062
フォーマット:CD
発売日:2020年12月15日 (火)
価格:3000円(税込)
- Track List -
01予告編
02 Prologue
03 Where Is It?
04 Cheap Ambition
05 Barber Shop Yokonaka
06 Money Talks
07 ねぇ
08 ツキの無い夜
09 札束
声の出演 - AKLO/Estra/Ginshirou/Haruto&Hana/L’Andre/Mr.麿 Noliel.ののの/SALU/TKC/WON¥EN/伊藤あいみ/田我流/富田克也
All tracks produced by BACHLOGIC
All lyrics & story were written by NORIKIYO
Art Works by SITE(Ghetto Hollywood)
Executive produced by NORIKIYO
A&R:Hikaru Tokuyama、Kazuhiro卍 Kusano
<「相模川町(さがみがわまち)」あらすじ、プロローグ・登場人物>
・あらすじ
主人公であるPool(プール)はラップで成功する事を夢見ていたが、その芽は出ず如雨露を違う事に使う事にした。現在は生活の為、上質なネタを栽培し、卸しから小売まで手がける生産者兼ディーラーだ。彼は昔、相模川の河川敷であまり質の良いとは言えないネタを栽培していた。その畑を偶然発見した嶺仁(れいじ)は自分はもっと質の良い物を栽培出来るとPoolに話す。帰国子女だった嶺二は上質な物を作る事が出来た。嶺仁は自分のラボを長く空ける時に育てているネタの面倒を自分の代わりに見れる奴を探していた。そうやってPoolは嶺仁の弟子となった。時は流れ、ある日Poolは懲役から帰って来たと噂を聞いていた昔のビジネスパートナーで幼馴染のメグから一本の電話を受ける。
・プロローグ
俺が嶺仁から貰ってこの手からこぼれていないモノを数えてみると幾つかある。先ずは上質なネタの育て方、そして世の中ではストリートと呼ばれている所で稼ぐ為に守らなければいけないルール。 “お前が街を見てる様に街もお前の事を見てるんだよ” あの時は然程気にも留めなかったが今となっては俺が彼に教えて貰った事の中で一番響いている言葉かもしれない。
[ 2年前 ]
悪名高い相模原東警察の接見室は目が痛い。このやたらと白い蛍光灯のせいだ。それはこの建物に居る全ての人物達と対照的でこの建物の中で蠢くちぐはぐした空気感を演出するのに一役かっている。警察官はペンを握って何かを書き留める様子だがその手を止め俺達をチラチラ見ている。この場所に似つかわしくない際どいドレスを着たMAYAが気になる様子だが当の本人は気付いていないのかその目は嶺仁を見つめたままだ。先日、MAYAと一緒に差し入れしたパーカーは紐が取られていた。留置場の中は紐が付いた服はNGらしい。理由は想像出来た。嶺仁はそのフードをおもむろに触りながらアクリル板の向こうから俺の質問にこう答えた。「バカ、上手く行けば弁当だよ」。警察官の手前多くは語らなかったが彼が不在の間、俺にこのビジネスを預ける事は理解できた。俺と目があった警察官はその刹那時計に視線を移した。「浅野、そろそろ時間だぞ」嶺仁は警察官に冷めた目を添えながら頷いて顔を少し下に傾けた後、俺達にいつもの優しい顔でこう話した。「まぁ、大抵逃げてぇ時程退路はねぇ… そういう事だな」そう言い残すと鈍く光る黒い手錠を手首に携え照れ隠しの様な笑顔を残し奥の部屋と消えていった。俺が彼を見たのはそこが最後だ。(Pool)
- 登場人物の紹介 -
Pool(主人公)・・・25歳、ネタの生産者兼売人。子供の頃プールで溺れた事からあだ名がついた。高校時代はラップをやっていた。その頃イベントに客として来ていたBLAQLIST(3人組のRapGrup)とは知り合い。高校生の頃は相模川の河川敷で育てた決して良いとは言えないネタをクラブで捌いていた。HIPHOPを聴いてモチベーションを上げる。人が良いので上手い話があると騙される。河川敷で7年前に嶺仁に出会う。嶺仁から質の良いネタの作り方を教えてもらったので今は上質な物を育てる事ができる。本当はラップで成功したいが金にならない為、ネタを売って生計を立てている。家族が作った借金を返している。(相模川町出身)
目黒(通称メグ)・・・高校生の頃はPoolからネタを預かって売っていた。最近は窃盗で1年半黒羽刑務所に服役したが今は娑婆に居る25歳でプールのタメ歳。相模川町とは相模川を挟み隣町の厚木野が地元。小学校の頃、少年野球をやっていたPoolとはリトルリーグで同じチームだった。Poolの幼馴染。その頃は駄菓子屋へ一緒に行ったりNintendo64を万引きしたりしていた。懲役から帰ってきたが皆んなに内緒で足立とフトの元で詐欺をしてる。詐欺の売り上げをくすねようとした事がフトと足立にバレて穴埋めをしなければならなくなる。昔の友達であるプールをハメる事を思いつく。策士。周りの奴らは目黒に腹違いの姉が居る事は知らない。(厚木野出身)
Jorge(ホルへ)・・・26歳、ペルー人。日系3世で苗字は横中。プールと一緒にネタを育てている。13歳の時来日。寝る時とボムしに行く時以外はいつもGrowしているマンションの1室に居る。収穫したバッズの形を整えるために要らない葉を切り落とすのが超早い為、床屋と呼ばれている。現在のPoolの右腕。Poolと一緒にネタを栽培しているマンション(Lab)はBarber Shop YokonakaとPoolが名付けた。プールとTGP(グラフィティのCrew)以外の日本人は信用していない、愛想が無い。日本人にネタは売らない。ラテンの仲間たちにのみ格安で譲っている。絵が上手い。グラフティライターでもある。タグネームはPATO。(相模川町在住)
BLACQLIST ・・・22~23歳。3Dプリンターでバカを立体化したような3人組。その中の一人(WAKA)は窃盗で執行猶予中で目黒の後輩。ブラックリストはラップグループ兼Crewの名前。文字通り金融機関や盛り場等でブラックリストにのっている。元々はそんな不良ではなかったが、同じ専門学校で出会った3人は犯罪結社ブラックリストを名乗り学校のパソコンを盗んで売り飛ばそうとしてクビになった。盗みや人を騙す事を悪いと思っていない。足立から買って捌いて金にするはずだったドラッグの支払いが滞り足立にシメられる羽目に。街のグラフィティをクロスアウトしたり車を傷付けたりしながら歩いている。金が無さ過ぎて現在は皆んなで現場系のアルバイト中。(厚木野出身)
【ドレッドヘアを束ねた髪型のキャラ:WAKA(若宮) / 短いドレッドヘアのキャラ:KOMA(生駒) / 眼鏡でニットキャップでマスクのキャラ:MASK(増田)】
足立・・・33歳 半グレ。イリーガルな仕事なら何でもやる。ドラッグディール、詐欺、盗難車の売買(調整地区の南アフリカ系のギャングに卸してる)。ケツ持ちは万田。万田からドラッグを買って街のKIDS達に卸しているが最近売り上げがあまり良く無いので万田からガミガミ言われてる。それはPoolが作るネタの方がクオリティがいいからである。最近自分のネタを買わなくなった客が増えた為、隣町でネタを捌いてるプールの存在を独自に突き止める。(厚木野出身)
ふとし(通称フト) ・・・33歳。足立の詐欺の仕事の右腕。目黒が詐欺の売り上げを自分の用意した飛ばしの口座とは別の口座に入金してくすね様としていた事を突き止める。(厚木野出身)
万田・・・45歳。竹原組所属。一帯のハスラーの元締め。元は暴走族だったが本職になって金貸しや詐欺、ドラッグディールで成り上がった。嶺仁の話をする奴を嫌う。怒らせるとめちゃくちゃ怖い。過去に何人か殺しているが捕まったことはない。高級クラブ「KAYA」の常連。(相模原町や厚木野近辺のエリアのボス)
渡辺・・・43歳。峰山組若頭。万田とは別の組織に所属。目黒の姉はビジネスパートナーでもある。万田を失脚させたい。最近、自分の愛人の腹違いの弟が目黒だと知る。嶺仁とは同じ団地出身で幼馴染だった。デリヘル、ドラッグ諸々のビジネス、掃除屋、キャバクラなどの水商売全般、カフェ、焼肉屋経営。実家は団地の商店街の肉屋さん、そこでバラしてるのは精肉だけでは無いとの噂だが団地の商店街やお祭りに出資しまくってるので住民からのプロップスは絶大。(町田市忠生ヶ丘団地出身)
浅野 嶺仁・・・41歳? 昔、少しだけ万田の下で働いていた。何度か懲役を務めた経験あり。元はPoolにネタの育て方を教えた兄貴分。昔、相模川の河川敷で偶然ネタが生えてる畑を見つける。それはPoolの畑だった。質が悪かった為、自分のインドアでGrowしてるラボを手伝えばもっと質の良いものが作れる様になるとPoolを誘う。そしてプールは嶺仁の見習いになる(本職とは関係なしの子弟関係)。 帰国子女。アメリカでネタを育てていた為、質の良い物を作れる。破門になって足を洗っている。万田とは遺恨が残っている。(町田市忠生ヶ丘団地出身)
TGP(The Gami Policia)・・・街の裏側をパトロールするグラフィティのクルー。自分たちのグラフィティを上書きする犯人を捜している。Poolからネタを買っている。ホルヘとはグラフティ友達。(相模川町出身)
REW・・・42歳、ラテンコミニュテイのボス。彫り師。(相模川町在住)
麻耶・・・高級クラブ「KAYA」のママ。源氏名はKAYA。目黒の腹違いの姉。天真爛漫で欲深い。嶺仁の恋人だったが現在は渡辺の愛人件ビジネスパートナー。目黒と渡辺と共に万田の利権を奪う事を画策する。(出身地不明)