宇宙飛行士の野口聡一さんを乗せた宇宙船「クルードラゴン」が打ち上げに成功、民間の宇宙船としては世界で初めて運用段階に入った。また、国内でも小惑星探査機「はやぶさ2」のカプセルが地球に帰還、太陽系の歴史や生命の起源に迫る研究に期待が高まっている。

 こうした宇宙開発技術の中には、地球が抱える様々な問題の解決や、SDGsの目標達成にも寄与するものが含まれているという。

・【映像】宇宙開発の技術が地球を救う?

 日本は2028年に月面基地を建設する国際プロジェクト「アルテミス計画」にも参加を表明しており、月で暮らすための技術の開発も進んでいる。その一端を担うのが、50以上の企業や研究者が参加して4月に設立された「スペースフードスフィア」だ。

 「2040年代には、一つの月面基地に100人ぐらい、あわせて1000人ほどが滞在する時代になる。その時に出てくるであろう、地球と宇宙に共通する食の課題解決に取り組んでいく。特に私たちが目指しているのが完全資源循環型で、全てを月や火星で賄っていくことを究極的な目標にしている」。

 そう話すのが、理事を務める菊池優太氏だ。栄養満点な肉や魚、酸素を作れる藻類を培養する技術は開発が進んでおり、宇宙を意識した完全密閉型の植物工場では従来の植物工場よりも5倍近く多い収穫が実現、フォアグラの生産にも成功している。

 また、未だ構想段階ではあるが、月に建設することを想定している「超効率植物工場」では、資源の少ない環境下で多様な植物を栽培、収穫や加工・料理までを自動で行うという。さらに、通常であれば捨てられてしまう部分も活用し、一切ゴミを出さないことを目指す。また、尿も活用することで、食料だけでなく、水も循環型のシステムで賄っていきたいという。

 こうした技術は、今の地球が抱える様々な問題にもアプローチが期待できるという。「例えばフードロスを半減させるというSDGsの目標があるが、私たちは全てをリサイクルしようとしている。地球上でベターであることは、宇宙だとマスト。究極の過酷な環境である宇宙に向けた技術を地球にフィードバックしていきながら、課題解決にも貢献していく」。

 「人口増の地球では2030年以降、“タンパク質危機”が来ると言われている。そうした課題に対し、SDGsという共通言語のもと世界で進もうとしているが、一致団結するのはなかなか難しい部分もある。その点、僕たちには既得権益やしがらみもないし、ゼロベースで考えられる宇宙において、本来あるべき形を徹底的に考えることができる」。

 人工衛星の技術も同様だ。実は日本の人工衛星は各国の熱帯林の状況をモニタリング、違法伐採の取り締まりなどに活用されているという。

 また、福井県では産学官の連携により3基の超小型人工衛星を開発、打ち上げにも成功している。さらに来年3月には“県民衛星”の「すいせん」(スイセンは県花)を打ち上げる予定だ。

 福井県民衛星技術研究組合の進藤哲次理事長によれば、基幹産業が眼鏡と繊維の同県で、“何か他に面白いことはないの?”というシンプルな問いかけからスタートしたというが、安価で開発できる超小型人工衛星は福井の物づくりの強みを生かした産業になるかもしれないということがわかり、なんと4年間で開発にまでこぎつけたという。「マイナス70℃から200℃くらいまで変わる宇宙空間でも壊れない堅牢なものを作る技術を福井は持っていて、それらを部品レベルで供給している」。

 従来の衛星写真は数カ月に1度程度。地域によっては3年から5年に1度しか更新されないというが、「すいせん」は福井県に特化、およそ2週間に1度のペースで福井の上空を通過する際に撮影を行うことで、よりリアルタイムに近い形で森林や河川の変化を把握、災害対策に活用する。さらに進藤氏らは「すいせん」を活用したビジネスも検討しているという。

 福井県では、「ふくいSDGsパートナー」制度も始まっている。「私たちも去年ぐらいからSDGsを勉強している。その中で言えば、次世代を担う若者が希望を持ってチャレンジできること、地球環境の変化に伴う河川の氾濫や土砂災害などに対応していくことを目標にしている」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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