西村経済再生担当相が会見で「この3週間がまさに正念場、勝負だ」と訴えてから3週間。16日、記者から「感染拡大が収まっていない現状をどう受け止めるか」と問われた菅総理は「分科会の提言を踏まえて11月末から様々な対策を講じてきたが、高止まりの状況だ。これを真摯に受け止め、年末年始を集中的に対応していくために営業時間短縮の延長やGoToの一時停止を決定した」と述べた。
日本医師会の中川俊男会長は「最強の感染拡大防止策は国民一人ひとりの感染防止意識、これに尽きると思う。緩んでいる。慣れている」と警鐘を鳴らしているが、具体的にはどのようなことに気をつけながら年末年始を迎えればいいのだろうか。
・【映像】感染も重症者も増加"勝負の3週間"の結果は?年末年始どう過ごせば...?
「私は社会を“ネットワーク”で表し、その中で感染がどのように広がり、収まるのかのシミュレーションをしている」と話す東京大学大学院の大澤幸生教授は、「ステイ・ウィズ・コミュニティー」の考え方を提唱している。
「ここで言う“コミュニティー”とは、お互いが会おうと思っていて会った人のことを指す。私がシミュレーションした結果、人々が(家族や親友、恋人、職場の同僚など、一人ひとりにとっての最も基本的な)コミュニティーとだけ会う生活を続けていれば、社会のネットワーク構造が変わらないため、感染爆発は起きにくくなる。一方、そうではない人との“不慮の接触”がたくさん起きると感染爆発が起きやすくなる。ただ、“不慮の接触”を完全になくしてしまえば、経済の発展はない。例えば満員電車の中であっても皆さんがマスクを着けている静かにして限り、“不慮の接触”は起きにくい。“8割減”というメッセージもあったが、これもコミュニティー以外の人との接触を8割減らすと考えればわかりやすい。そのようにして、安全に社会のネットワーク構造を発達させる方法があるはずだ、というのが私の考えだ」。
その上で大澤教授は年末年始の過ごし方について、「日常生活においてステイ・ウィズ・コミュニティーを頑張っていただき、繁華街などでの忘年会や不要不急の長距離移動によって普段会わない人と会うことのリスクを考慮すべきだ」と訴える。
「多人数で飲み会をして騒いでいると、どうしても知らない人との“不慮の接触“をする危険が出てくる。また、政府がGoToキャンペーンの一時停止を決断したが、私も含め多くの研究者がシミュレーションをした結果、やはり僅かな人であっても長距離移動は危ないのではないか、という結果が出ている。例えば帰省をし、同窓会を開いて1年ぶりの人と会うことが、コミュニティーと言えるかどうか。やはりこれはリスクが高いと言っていいと思う」。
渡航医学が専門の関西福祉大学の勝田吉彰教授は「リスクコミュニケーションの観点から考えると、“勝負の3週間”といったメッセージだけでは具体的に何をすべきで、何をすべきではないかが伝わって来ない。例えば会食についてのキーワードは“は・し・か(話さず静かに金を落とす)”だと私は言っている。また、大澤先生の提案で素晴らしいのは、サスティナビリティがあることだと思う。コロナと付き合っていく中で何が大切かといえば、対策を無理なく、いかに継続できるか、ということに尽きると思う。一つだけ指摘をしておくとすれば、コミュニティーごとに行動様式がかなり違うという点が挙げられる。例えば同じ大学生でも、大澤先生のゼミ生と、合宿に行って同じ釜の飯を食った運動部の学生とでは、やはり行動様式は異なってくると思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)