3年前、神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件で強盗殺人などの罪に問われていた白石隆浩被告に対して、東京地裁立川支部は15日、死刑判決を言い渡した。遺族の大半が極刑を望んだ末の判決。しかし被害者遺族の中には「被告の思うように死刑になって簡単に終わらせたくない」「怒りをどこにぶつけていいのか分からない。相手が死刑になったってぶつけようがないんだから」と話す人もいる。

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 また、11日には鹿児島県日置市で親族ら5人を殺害するなどの罪に問われていた岩倉知広被告に死刑判決が言い渡されている。岩倉被告は判決を聞くや「許されんぞ」と叫び、検察官や遺族に飛びかかろうとして刑務官に取り押さえられた。弁護側は判決を不服として、即日控訴している。

 このところ相次いだ死刑判決。一方、今年は死刑の執行はなく、13日には外国人女性2人を殺害、2012年に死刑が確定していた男が東京拘置所内で病死したことが報じられている。これで執行を待つ死刑囚は109人となった。

■「反省の言葉もないまま刑場の露と消えていくのが人間的なことだろうか」

 死刑制度について、元暴力団員で服役した経験も持つ牧師の進藤龍也氏は「死刑制度を肯定している人たちを批判しているわけでも、被害者のことを無視しているわけでもない」としつつも、クリスチャンとしての視点も交えた4つの理由から反対の立場を取っていると説明する。

 「一つ目は、国際的に取り残されてしまう可能性があるということ。二つ目は、命のやりとりは神ご自身によって行われるべきことだということ。

 三つ目は、罪を犯した人が悔い改め、被害者に謝罪する気持ちを持つ、つまり人間性を取り戻すチャンスを奪ってしまっていいのか、ということ。実際、被害者遺族の中には、死刑が執行されてもスッキリしなかった、というケースがある。極刑にしてくれと言っていた遺族の方が、その後のやり取りの中で変わってくることもある。それどころか、遺族の方が生きて償ってほしいという除名嘆願を出しているのに死刑を執行してしまうことだってある。あるいは死にたいから罪を犯したという人がすぐに執行されるケースもあるが、言いなりになる必要はないと思う。人間性を取り戻して刑に服すのか、反省の言葉もないまま刑場の露と消えていくのか、どちらが人間的だろうか。

 四つ目が、人間のジャッジは完璧ではないということ。実際、袴田事件のようなことも起きているし、実は冤罪だったのに刑場に消えていった人もいるかもしれない」。

 進藤氏がこのように主張をするのは、自身が死刑囚や無期懲役囚との関わりを経験したからでもある。

 「私に連絡をくださる方々は、“罪責感で押しつぶされそう、どうやって生きたらいいか分からない”というような手紙をくれる。ある本の中には、“殺人者には殺人者の正義がある”、つまり“俺は殺す理由があったから殺したんだ”というところから抜け出せない人もいるし、そうであれば改心なんかできる訳がない。だからやっぱり死刑制度に賛成だ、という人もいると思う。僕も神様ではないので、本当の心の中までは分からない。確かに死刑囚の方も殺人の罪で無期懲役になった方も、最初のうちは反省や謝罪の言葉はなく、人生を儚んでいるだけだ。

 しかし、私が人間同士として関わってきた人たちには、少しずつ自責の念が生まれてきたし、文通や面会をしていく中でインスピレーションがある。実際、刑務所で稼いだ全額を被害者の方に送っている方もいる。裁判で死刑が無期懲役になるという経験をし、命の尊さというのを知って改心に向かった方もいる。そして、皆さんびっくりするくらいに家庭というものと縁が薄い。言ってしまえば、“そんなにかわいそうな幼少期だったの”という方々が犯罪に走っているということは間違いない。

 また、私が関わった死刑囚のうち2人はキリスト教に出会ったので、死への恐怖についてはあまり話さない。むしろ自分が生かされている価値というか、執行までの年月をどう生きるかということを常に考えている。それが生き直すとか、悔い改めるということだと思う。被害者感情を無視する訳ではないが、“この人は変わってくれたんだ”と感じられれば、被害者遺族の方々も慰められると思う。神の目から見れば、私のような前科者や犯罪者も大統領も、同じ愛する人には変わりはない。壊れたものが直るというのはとても嬉しいことだし、逆に諦めるというのは、その愛に反することだと思う」。

■「死刑制度には反対だが、その理由がなかなかうまく説明できない」パックン

 州によっては死刑が存置するアメリカ出身のパックンは「大学時代のルームメイトが死刑制度の研究をしているが、犯罪抑止には効果ないと言っていた。日本のことは日本国民が決めることだが、人の命を取るような国じゃないというイメージの方がいいと思うし、その意味ではアメリカでも死刑が執行されているのは残念に思っている。ただ、限られた人材、税金、時間の中で誰を助けるのか。DV、貧困、教育格差など、様々な境遇で苦しんでいる国民を救わずに、どうして2人以上を残酷な手段で殺したような死刑囚のために頑張らなくてはいけないのか、あるいは死ぬまで生活の面倒を見なくてはいけないのか。こうした疑問にはなかなか答えられない」と話す。

 EXITのりんたろー。は「死刑が抑止力になっているのだし、なきゃダメだと思っていたし、終身刑でもいいんじゃないかなと思っていたが、様々な問題があると感じた」、兼近大樹は「法律の名の下で、実際に人を裁き、人の命を奪っているのは人間だ。だから完璧に正しい人間がこの世界にいるなら、死刑も成立すると思っているし、少なくとも僕は正しく生きてきた人間じゃないので、誰のことも裁くことはできない。完璧に死刑制度を遂行できる、完璧な人間っているのかな」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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死刑囚と交流・文通する牧師「人間のするジャッジで完璧なものはない」
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