「SDGsはうさんくさいもの。自ら目標を決めて、それを達成する運動にすべきだ」SDGsビジネス総合研究所・村井哲之氏
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 近ごろメディアで取り上げられる機会が増えた「SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)」。経済、環境、平等など17の社会課題を2030年までに世界全体で達成することを目標としているが、日本における認知度は今年3月時点で3割にも満たないのが現状だ(電通調べ)。

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 そんな中、SDGsの普及に努める立場から、あえて「SDGsはうさんくさいもの」と言い切り、そこから説明をスタートさせるのが、『SDGsの正体 ~メディア報道ではわからない真の目的とは~』の著者、村井哲之・SDGsビジネス総合研究所理事長だ。

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 「私がSDGsに興味を持ったのは、ある世界的なシンクタンクの方に"SDGsとは何か"と直球の質問をした時、"先進国が振り向くと、経済力においてすぐそこまで中国やブラジルなどの新興国が迫ってきていた。彼らの成長を抑えこむためのものだ"と言っ切った。そこからSDGsの勉強を始めた。だいたい、我々は未来を明るくしてくれるモノ・コトらの誘惑に弱い。SDGsを"誰一人取り残さない"と訳す人がいるが、私はここに先進国の人間の奢りや欺瞞を感じるし、"誰一人取り残させない"と訳す人には、発展途上国の甘えを感じる。私は"誰一人からも1円たりとも利益を取り逃がさない、欧米白人発の秀逸な仕掛け"と訳している。世界の富豪トップ26人の資産が、世界の最も貧しい38億人の資産と同じという現実がある。これを支える鬼の様な仕組みだ」。

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 その上で村井氏は続ける。

 「結論から言えば、アメリカや中国がSDGsの目標を追わなければ、良い世界にはならない。しかし、現実はどうだろうか。GDP1位のアメリカはSDGs達成度ランキングで世界31位、2位の中国は48位、3位の日本は17位だ。それから、日本が最高の評価を受けている3項目を見てほしい。教育の質が高いとされているが、実際は官僚と会社員の育成プログラムではないか。産業と技術についても、昔は半導体の分野では世界シェアが50%以上もあったのが、今はCPUではインテルに、フラッシュメモリーはサムスンに持っていかれて、何も残っていない。巻き返しを狙ってオールジャパンを作ったものの、これも倒産しそうだ。"平和と公正をすべての人に"というのも、核兵器禁止条約を批准していない日本がどうして高い評価を受けられるのか。いったい誰が現状を評価しているのかと思う。

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 世界は利益を一にして動いているわけではなく、それぞれ国益で動いている。それを支えるのが企業であり、さらに企業を支えるのが個人だ。そもそもSDGsの目標自体、"あらゆる手法を駆使して"とか"大幅に削減する"など、めちゃくちゃ曖昧な表現のオンパレードだ。ただ、理想としては誰も反論できない、素晴らしいものだ。これを目標ではなく理想的な未来の世界の骨格と捉え、個人がしっかり考え、企業を変革し、理想の社会に向かっていく。その中で自らが達成すべき本当の目標(18番目のゴール)が見えてくるのだと思う。過日のCO2削減ブームがそうであったように、日本人はすぐに目標化したがる。会社の上の方から取り組めと言われると、立場的にサラリーマンだから、とりあえず在任中は太陽光発電でもやって、本当かどうかわからない地球温暖化防止の取り組みとしておくか!10年後は定年で会社にもいないし…という形で終わってしまう。

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 SDGsの推進とはそうではなく、企業なり個人が未来の世界の骨格作りを自分ごとにして、そこへ向けての自らの目標を決めて、それを達成する運動のことだ。また、社会貢献と企業利潤は合致しないと思われがちだが、それは大きな間違いだ。GAFAなどのグローバル企業はCSV(CSRと企業利潤の同時達成/共有価値の創造)という経営手法を駆使して両立させ、企業競争力の源泉にしている。これがSDGsに取って代わるということだ」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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