「創部4年で、初めて奈良の頂点に立ちました。奈良県のチームみんなの想いを背負って全国大会に出場します」。奈良県代表として全国選手権への切符を手にした県立山辺高校のサッカー部が揺れている。今月に入り、8、9月の2回にわたり、部員10人が寮内で飲酒していたことが発覚したのだ。
しかし高校と県の教育委員会は「個人の責任は個人で取るもの。連帯責任で出場を辞退することが指導にはならない」として、全国選手権出場を辞退しない判断を下し、10人のうち、特に反省が見られた8人については出場も認めた。
これに対し、ネット上には「反省文で帳消しにできるレベルじゃない」「普通は出ないよね。県も学校もおかしいよ」「真面目にやっている他の高校がかわいそう」「辞退しないまでも、飲酒した部員は出さないのが妥当では」など、多くの批判の声も上がっている。
高等学校の学習指導要領では、部活動について「自発的な参加により行われる部活動については，スポーツや文化，科学等に親しませ，学習意欲の向上や責任感，連帯感の涵養等，学校教育が目指す資質・能力の育成に資するもの」と説明されている。
21日の『ABEMA Prime』に出演したカンニング竹山は「学校の部活動は教育の一環だし、未成年の飲酒・喫煙は法律に引っかかる問題。10人が未熟だったからしょうがないということなのかもしれないけれど、やっぱり指導者たちの責任になってくる。僕は連帯責任が良いとは言わないけれど、このまま出場するのは難しいんじゃないか」と、テレビ朝日の平石直之アナウンサーも「飲まなかった部員はかわいそうだけれど、飲んだ部員が出場できなくなるのはしょうがないのではないか」と話す。
ジャーナリストの堀潤氏は「NHK時代、個人のTwitterに投稿したことについて上司や先輩たちまで“堀の味方をしたから”と処分されていくのを見た。そういう連帯責任は嫌だ、怒られるのは僕だけでいいと思ってと辞めた」と明かし、「子どもはミスを犯すものだし、それも踏まえて育てるのが教育だと思う。彼らの未来を考えるなら、“こういう社会だから大会には出られない”と言うのではなく、監督責任がある校長や先生が“こういう状況を生んでいた私たちが責任をとるので、彼らには活躍場所を用意してやってください”として、飲酒した本人たちも出場させてあげればいいのではないか。そうすれば、“僕たちを指導してくれた人が責任を取らされるんだ。こんなことをさせたらいけないな”と思うような育ちかたをしていくと思う」とコメント。
元経産官僚の宇佐美典也氏は「法律的に見れば、基本的には飲んだ人に対する罰則はなく、売った方、管理する方への罰則がある」とした上で、「確かに飲酒・喫煙をしたら出場できなくなる、ということが抑止力になっていたとは思う。ただ、それは管理する側が“ちゃんと管理していたけど、あいつらが破ったのだ”という状況だったからだ。しかし今回はそうではない。こういう決定に至った理由も含め、綿密に検証して公開する必要もあると思う」と話した。
東北大学特任教授の増沢隆太氏は「飲酒・喫煙、あるいは犯罪も含め、出場停止処分になるという行為については一般的なコンセンサスがあると思う。危機管理の視点に限って言えば、出場させないというのが“普通の対応”になるのだろうし、目立たずにこの事態を収拾する方法だったと思う」と指摘。「学習指導要領にもある“連帯感”という言葉は曖昧さも含んだ表現だが、高校生でも理解できるものだと思う。そこには自分が悪くなかったとしても罰を受けてしまう可能性があるという、ある意味で社会の理不尽さも含んでいる。大事なことは、これが教育的なものである以上、学校側が自己保身に走っていることが透けて見えてしまえば、“偉そうなことが言えるのか”と説得力が弱くなってしまう。事態が収拾してこその責任だと思うので、ぜひ大人が責任を取ることをしてほしいと思う」と話していた。（ABEMA／『ABEMA Prime』より）
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