流行や世相を反映する第一生命の「サラリーマン川柳」に、実は自衛隊員が考える「防衛省川柳」もある。今回はコロナ禍もあってか、応募総数が前回から1000句以上増え7522句になったという。今月、その中から優秀作品が決定した。
陸上自衛隊からは神奈川県・武山駐屯地の高等工科学校の生徒、教官の皆さん。海上自衛隊からは横須賀基地所属の掃海艇はつしまの乗員の皆さん。そして航空自衛隊からは航空幕僚監部広報室の皆さん。現役の自衛隊員が全面協力のもと、熱のこもった演技を披露してくれた。
「階級で 呼んだら起きる 妻の知恵」(雅号:IBOY)
朝、妻にいくら声をかけられても、一向に目が覚める気配のない自衛官。しかし、「稲留一等空佐!」と呼びかけられると、「はい!」と思わず飛び起きてしまうという、自衛官ならではの“寝起きあるある”だ。
「花火の音 迫撃砲かな 職業病」(雅号:さぶろうの介)
花火があがったときにとっさに身を隠す人がいたら、きっとそれは自衛隊員だ。
「父よりも 匍匐のうまい 我が娘」(雅号:柔道黒帯・人間白帯)
陸上自衛官になるためには必ず通る匍匐(ほふく)の道。どんなに過酷な訓練を積んでも、赤ちゃんのパワフルなスタミナにはかなわないようだ。
「名月を 一人楽しむ 穴の中」(雅号:歩哨中)
日ごろから緊迫する安全保障環境の中で緊張感漂う訓練も多くある。自衛官も月を見ながらひと時、癒されることも少なくないのだろう。
そして今年、やはり新型コロナウイルスの影響が大きく、自衛隊でも音楽祭、航空祭などが軒並み中止に。訓練もままならない状態が続いた時期もあったという。
「テレワーク 映るの顔のみ 下パジャマ」(雅号:K.S)
2年連続2度目の出演。航空自衛隊のブルーインパルスのパイロットでもある園田健二3佐。ちなみに実際には、これまでテレワークの経験はないという。
「テレワーク 端末もらえず 手でワーク」(雅号:戦う事務職自衛官)
赤と白の旗を振りあってお互いの船の上で連絡を取り合う、手旗信号。海上自衛官は必ず、このもともとカタカナからイメージして作られている手旗信号を覚える。パソコンがない時、手旗信号が役に立つのかもしれない。
「演習場(やま)の中 隠れたつもりも 白マスク」(雅号:イカ大王)
感染対策には効果的な白マスクだが、演習中はとっても目立ってしまう。そのため陸上自衛官は、敵からの発見を遅らせる迷彩柄のマスクを選ぶことが多いそうだ。
「潜水艦 陸でも海でも 隔離中」(雅号:ポコ太郎)
隠密行動で情報収集任務などを続ける「海の忍者」とも呼ばれる潜水艦。隊員が共同生活を続けているうえ、密閉状態が続くため、一層感染に注意を払っている。
「国民の 感謝預かり 空を舞う」(雅号:平穏 希)
今年5月、ブルーインパルスによる感謝飛行。東京の真っ青な空に5機が描いた軌跡は、大勢の医療関係者を勇気づけた。ブルーインパルスのパイロット・園田健二3佐は「ライブ配信だとか、東京での感謝飛行といったような新しい発信方法で、皆様に自衛隊を理解していただこうといった取り組みができたのではないかと」「医療従事者の方々というのは、日々、日夜、コロナに対して対処しているというところで、そこに対する感謝の思いをしっかり込めて飛行できたと思っています。引き続き川柳とか、そういった活動を通して我々を身近に感じてもらえればと思います」と話していた。(ABEMA NEWS)