右を見せてから左へと繰り出す“ブーメラン”から、しっかりと腰を入れて、鍛え抜かれた右足を一閃。必殺のコンビネーションで、圧巻のKO劇を見せた。
そんな格闘技のような豪快な一発が、フットサル日本最高峰の舞台『Fリーグ』で生まれた。自他共に認めるキックボクサー・HIROYAにとてもよく似た風貌の25歳・丸山将輝だ。
丸山が所属するボアルース長野は、昨年の12月24日に行われた2020年のホーム最終戦でペスカドーラ町田と対戦した。
ゴールレスで迎えた第1ピリオド(前半)5分、丸山が試合の均衡を破る。
ピヴォ(サッカーでいうFW)に入った丸山は、味方からの縦パスをピタリと足元に収め、フットサル特有の足裏を使いながら背中を向けながらキープして、相手選手との距離を縮めていく。
あと一歩で相手とゼロ距離になるところまで詰めると、そこから右へ一度フェイントを入れて左側に急反転。フットサルの“ブーメラン”という技で、瞬時に相手の逆を突いてフリーの状況を作ると、右足を豪快に振り抜く。強烈なシュートは相手GKの肩口を射抜き、ゴールネットへと突き刺さった。
この豪快なゴールには、解説を務めた元フットサル日本代表の横江怜氏も「素晴らしい反転。シュートもパーフェクト。気持ちがこもったゴールでした」と絶賛。
同じく元日本代表の稲葉洸太郎氏は、このゴールを週間ベストゴールに選び「大胆でパワフルな反転シュート。丸山選手の得意技。決めるのはさすが!」とこちらも手放しで称賛した。
試合後、丸山本人も自身のTwitterで「1年の締めくくりに自分らしいゴールでした」と会心のゴールに喜びを示している。
丸山といえば、以前は『“100年に1人の逸材”棚橋弘至級の太もも』として紹介された人物でもある。当時から圧倒的なパワーが魅力的だったが、一方でフットサル選手としては粗さも目立っていた。
それから2年が経ち、経験と技術を積み重ね、自分が得意とするプレーを磨き上げた。チームは、シーズン終盤戦に向けて残留を争う窮地にあるものの、丸山はそんなチームを救うエースとしてこれからもゴールを量産し続ける。
文・川嶋正隆(SAL編集部)
写真/高橋学