(ONE参戦が決まった川原。ベルトを保持するDEEPの佐伯繁代表からは快く送り出してもらったという)

 また1人、ONE Championshipストロー級に期待の日本人ファイターが参戦する。1月22日に開催されるシンガポール大会「ONE: UNBREAKABLE」への出場が決まったのは川原波輝。昨年8月にDEEPストロー級タイトルを獲得した選手で、その時からONE参戦を希望していた。UFCにはストロー級がないだけに、この階級ではONEが世界最強を決める舞台と言われる。だからこそ川原もONE出場をアピールしていた。

 今回の試合は、リト・アディワンの対戦相手が新型コロナウィルス感染拡大防止のためシンガポール入りが不可能となったことからの緊急オファー。関係者を通じて出場可否の問い合わせがあったのは試合9日前、13日の午前だった。川原は出場OKを即答したという。

「実は10秒だけ悩んだんですけど」と川原。初体験となるONE独自の階級(減量)制度について考えたそうだ。

「でも、そのとき隣に(石原)夜叉坊がいたんですよ。“断る理由あんの? 体重だけやろ”って」

 盟友とも言える夜叉坊の言葉もあっての緊急参戦。その夜叉坊は1月31日の修斗に出場することが発表されたばかりで「つなげたい」という思いもある。また夜叉坊の追い込み練習のパートナーを務めることで、自身のコンディションも上がっていたようだ。

 以前からONE側に出場を希望する打診をしており「いつオファーがきてもいいように準備してました」とも。昨年『Road to ONE』渋谷大会で行なわれた猿田洋祐vs内藤のび太も観戦している。外国勢も含めONEストロー級の主だった選手はチェック済み。今回対戦するアディワンも、いずれ対戦するだろうと予想しており、今回のオファーには「ホンマにきた! って感じですね」。

 アディワンが所属するのはONEを席巻するチームラカイ。彼らを「生き物として強い」と評する選手もおり、肉体的な頑丈さとセオリーにこだわらないワイルドな闘いぶりが強みだ。

「日本人もみんな強いっすけど、心構えというか、外国人のほうが理解できないことが多い。想像しないことをやってくるんで」

 川原もそう語っているが、同時に「MMAなんで作戦練って対応できれば倒せる」とも。出場が決まるとメディカルチェックなど一気に多忙となったが、以前から相手をチェックしていたのはプラスだ。またシンガポール入国後には隔離期間があり、そこで作戦を練るつもりだという。

 細かい作戦の“詰め”は残しているものの、基本的な狙いは決まっている。打撃で一歩も退かないこと。そこが試合のカギを握ると川原は見ている。

「打撃は噛み合うんじゃないっすか。倒し合いですよ。日本人として、ストライカーとして出る以上、退かないです」

 単に出場するだけでなく、自分らしくインパクトを残そうということだ。急なオファーながらONE参戦自体には「いよいよかなという気持ちです」と川原。

「世界一を獲りにいくスタート地点に立てた。世界一を獲りたい、いや獲ります」

 結果さえ出せば、緊急オファーも出世物語の一部になる。少なくとも、今の川原には野心しかない。

文/橋本宗洋

写真/ABEMA

【青木真也出場】ONE Championship シンガポール大会 | 【ABEMA】テレビ&ビデオエンターテインメント
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