37歳、年齢・キャリア共に正念場を迎えた青木真也が、北米MMA最強の刺客を見事に絞め落として見せた。
1月22日にシンガポールで開催されたONE Championship「ONE: UNBREAKABLE」で青木真也が難敵・ジェームズ・ナカシマ(アメリカ)を相手に1ラウンド、バックに飛び乗っての鮮やかなリアネイキッドチョークで1本勝ちを収めた。試合後のインタビューで青木は緊張感から解き放たれ、涙まじりになりながらも「37年生きてきて、今が一番応援されていて一番幸せです」と感情を爆発させた。
昨年コロナ渦の中、国内における「Road to ONE」の中心選手としてMMAの灯をともし続け、奮闘を続けた青木だが、再開後のONE本戦からは思うように声がかからず、1年8カ月も苦しい状態に。37歳、ONEで存在感を失いつつある現状を「窓際」とやや自虐ぎみに語りつつも「舐めるなよという気持ちは常にある」とナカシマ戦へ向け奮起してきた。
対するナカシマといえば元LFAウェルター級王者という北米MMAの中心にいた実績の持ち主。ONE移籍後はウェルター級で岡見勇信に勝利し、王者キャムラン・アバゾフ(キルギス)を追い込みつつも逆転TKOで初の負けを経験した。
今回ライト級に転向後の初戦となったが、階級を変えたナカシマという刺客についてこの日のABEMAでゲスト解説を務めた北岡悟は試合前に「ONEが青木真也を潰しに来ている」と警鐘を鳴らす。今までトップ戦線で戦ってきた青木への左遷宣告、敗れると文字通り「窓際族」のポストが待っているということだ。
負けられない一戦で青木は右ミドルから始動。さらにミドルキックを連発する。組み合うとナカシマが脇を差しながらケージで抑え込むいつものスタイルだが、ここは付き合わずにすぐに離れる。
試合の流れが変わったのは開始1分。青木が前に出るナカシマにカウンター気味の右を当てる。一瞬、“グラり”とナカシマの動きが止まった。それでも前に出続けるナカシマだが、打撃の打ち際を狙い青木が組み、もろ差し状態で体を崩すとバックに飛び乗ってバックチョークを狙う。
腕関節を狙うような動きを見せながら後から体重をかけつつ、足はガッチリとロック。再び腰に足を絡ませ飛び乗ると、完璧なバックチョーク。なす術もないナカシマからタップを奪った。
勝利直後ABEMAの視聴者コメントも「流石」「世界の青木だ」「これはマジで凄い」「窓際から復活したな」と勝利に興奮気味。下馬評での“青木不利”との意見を受けてか「誰だよ負けるって言っていたやつは」「負けるとか言ってスマンかった」と手のひら返しの書き込みも殺到した。
リング上でマイクを取った青木は快勝に感極まり「(試合前は)本当に怖くて。でも凄く幸せな時間で、オレもう格闘技を別にやってなくてもよくて。でも俺がこうやってやることで喜んでくれる人がいて…」と自分を支えて来てくれた仲間の名前を挙げ感謝込めると「オレたちはファミリーだ!」とお決まりのフレーズを絶叫。
さらに「本当に日本にはいっぱいオレのことを応援してくれる人がいて。37年生きてきて、今が一番応援されていて、今が一番幸せです」とも話し、“青木劇場”をアツく締めくくった。
(C)ONE Championship