割り込み後に急ブレーキ→車を飛び出し撮影者に怒号… あおり運転をしないためにできること “される側”の要因も
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 割り込んできた車が突然の急ブレーキ。その影響で荷物が破損した引越し業者の男性が、その恐怖と悔しさを語った。

 これは24日、神戸市内の国道を走っていた引っ越し業者のトラックのドライブレコーダーがとらえた映像。左車線を走る黄色い車がウインカーを出し、車線変更をしてきたその直後、この黄色い車がトラックの前で二度も急ブレーキを踏んだ。

【映像】急ブレーキ→車を飛び出し怒号

 あわや衝突という中、とっさにブレーキを踏んだ撮影者。「思いきり急ブレーキを踏んできたので、危ないなって感じでした。こっちも何とか急ブレーキをかけて止まったんですけど、その際に荷崩れが発生して、テレビが破損した。画面にひびが入って、たぶん映らないと思います」。急ブレーキが原因となり、引っ越し先に届けるはずのテレビが破損してしまったのだ。

割り込み後に急ブレーキ→車を飛び出し撮影者に怒号… あおり運転をしないためにできること “される側”の要因も
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 引っ越し業者のトラックの前で急ブレーキを踏んだ運転手の男は、赤信号で停まると、車から飛び出し血相を変えてこちらに向かってくる。

 「おんどら何鳴らしんとんじゃコラ!」「降りてこんかい、降りてこい!ガキが降りてこい!」

 身の危険を感じた撮影者は、男が車を降りたと同時にドアの鍵を閉めたという。しかし、「開けようとしてきた。何回も(ドアを)ガチャガチャしてきた。スマホで警察に電話しようとしたら、向こうがスマホを取り上げようとしてきたので、とっさに窓も半分ちょっと上まで閉めた」。男はさらに激しい口調でまくしたてる。

 「お前あおったやなかいアホ! お前年いくつだ。年いくつだコラ!」

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 あおられたと主張し、トラックの運転手に対してなぜか年齢を聞いてくる男。一方、撮影者はあおった覚えはなく、普通の運転だったと振り返る。「割り込んできて危なかったので、僕が注意喚起でパッシングしたんですよ。それに向こうが腹立ったのか、思いきり急ブレーキを踏んできたので、危なかったのでクラクションを鳴らしたんです」。

 その後、通報を受け駆け付けた警察になだめられると、男は撮影者に謝罪してきたという。しかし、破損したテレビは元に戻らず、撮影者は「警察の人にはテレビが破損したのを見てもらって確認したんですけど、『こっちとしてはどうすることもできない』と。結局は実費で弁償して泣き寝入りするしかないですね。僕があおったりしたわけでもなく、向こうが割り込んできたのに、もう悔しいしかないですね」と語った。

■あおり運転を“しない・されない”ためには

 こうした“あおり運転”は度々報じられるが、なぜなくならないのか。臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖氏は「何か自分の思い通りにならないことがあった時に、なかなかその感情を抑えられない状況があるということだと思う」と指摘。あおり運転が起こるメカニズムについて次のように説明する。

割り込み後に急ブレーキ→車を飛び出し撮影者に怒号… あおり運転をしないためにできること “される側”の要因も
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 「脳機能の面からいうと、運転している時はいろいろなところに注意を向けている。当然前を見て、ハンドルを握って、アクセルワークをして、サイドミラーや後ろも見てといろいろなところに注意が払われてる状態は、脳の中で主に前頭葉が多く使われている。一方で、感情を抑制する機能も前頭葉が司っているが、脳のキャパシティーを超えた時に感情が率直に行動に現れてしまうことがあるということだと思う」

 車の運転において“人が変わったようになる”という表現もあるが、これについても要因を指摘する。

 「人が変わるというよりは、元々そういう気質や性格があって、それが運転状況になることによって出やすくなるということ。運転中は社会的な場面なのにも関わらず、人によっては車の中は家にいるようなプライベート感覚があったりして、感情が出やすくなるということも言えると思う。また、人と人との関わりであるが、お互いの顔が見えないということも感情の出やすさに影響している」

 では、自身があおり運転をしないためにどういった対策ができるのか。

 「あおり運転というのは、夕方から夜にかけて多くなるというデータがある。個人差はあれど、脳疲労は朝よりも夕方や夜の方が進んでいて、(疲労から)感情を抑えにくくなるので、夕方以降の運転時は注意するというのがまず一つあると思う。疲れているときや、ストレスが蓄積しているときも同様。

 あと僕がよく提案しているのは、車内が映るドライブレコーダーを用意すること。運転を録画しておいて、自分の運転の仕方や表情を後から客観的に見てみる。

 そして、一番効くのは同乗者に指摘してもらうこと。自分の運転で何が危ないのか、何が問題かは気づかない場合があるので、同乗者がいれば、ヒートアップした時にコンビニ寄ることを提案してもらうとか、普段から気になるところを言ってもらう。特に最近、高齢者の場合だと孫に『運転が怖い』『もう乗りたくない』などと言われると結構効いて、直そうという気持ちが生まれてくるようだ」

割り込み後に急ブレーキ→車を飛び出し撮影者に怒号… あおり運転をしないためにできること “される側”の要因も
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 また、「あおり運転は加害者が絶対的に悪い」と前置きした上で、藤井氏はあおり運転をされる側の特徴についても考察した。あおられた経験がある人にドライブシミュレーターで運転をしてもらい、どういう運転の癖があるのかを調査したところ、「追い越し車線を低速で走り続ける」「信号で止まるタイミングのズレ(かなり前からブレーキを踏むなど)」「サイドミラーやルームミラーを見る回数が少ない」といった共通点があったという。

 「3つに共通しているのは、他者視点の欠如。自分の運転が人にどう影響を与えているかという意識が希薄な場合に、あおり運転を引き起こしてしまう。やはり自分の運転を省みる必要があるということでみれば、誤解を恐れずに言えば、あおり運転をする側とされる側に一定程度共通した部分があると思う」とした上で、「交通トラブルや、運転中の感情コントロールが難しい人をゼロにすることはできない。自分の運転を客観的に見つつ、出来る限りの自衛、予防をしていただければ」と訴えていた。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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