「先週・先々週は非常に多くて、コロナ陽性で自宅療養されている方が入院できないということが多数あった」
新型コロナウイルスに対応する現場の様子を語るのは、国際医療福祉大学医学部教授で同大学病院の救急医療部長を務める志賀隆医師。救急医の立場として、今感じているのが症状の多様性だという。
「感染している患者の症状・多様性がすごく広がった。『だるい』ということでお越しになって、熱も咳もないという高齢の患者が新型コロナウイルスだったり、以前だと熱がある、咳があるとはっきりしていたのが、『なんだろう?』という方がコロナウイルスだったり。千葉県の方では、外国人のコミュニティーの患者さんが接触の疑いがあるということでお越しになって、レントゲンを撮っても正常だが、PCR検査で陽性。世代や背景、コミュニティーも多様で、ものすごくワーッっと広がったというのが1月の印象」
そして、感染した人が口にするのは不安と後悔。
「入院されると、一緒に暮らしている人がいたら『家族はどうなんだ』という心配。もしうつっていたとしたら、『あの時の飲み会だったのか』という後悔。家族であれば高齢者がいることもあるわけで、80代以上だと10%という高い致死率が待っている。高齢の方がいると『う~ん』と、なんとも後悔しきれないような言葉をおっしゃっている方もいる」
志賀医師も指摘するように、いま問題となっているのが感染者の増加による病床のひっ迫だ。志賀医師の病院でも、本来なら素早く行うべき手術や治療を遅らせてでも、コロナ患者の対応を増やしているという。
「まず頑張ったらできそうに思うこととしては、夜間のPCR検査をできるようにすること。やり方が簡単で結果も早めに出る、精度も通常のPCR検査と同じような新しい機械が出てきているので、それらを大きな病院でなんとか確保して配る。今困っているのは、コロナの患者だと決まっていると見つかる病棟も、熱があって疑わしい、白黒はっきりしない方だと難しい。そこを解決する手段として、(結果が)割と早く出る機械を確保するというのが現実的なひとつの方策」
陰性か陽性かを事前に検査で把握できれば、病院の負担も減り病床の確保に繋がると志賀医師は指摘。患者によって経過が異なり難しいと言われている新型コロナの治療も、軽症の段階から入院して対応すれば症状の悪化を効率よく防ぐことができると、呼吸器内科の同僚と話しているという。
また、クラスター発生の懸念から、小さな民間病院では患者の受け入れが難しいという現状については、医療関係者から始まる予定のワクチン接種で幅広く対応できる病院を増やしていく必要があるとした。
「まずワクチンがきたら絶対に打つ。早く打ちたくてたまらない。最もお金がかかって、日本では到底できないような研究デザイン。患者一人ひとりの副作用であったり、その後の感染の状況をつぶさに何万人も追っている臨床試験で、ああいうのは日本では無理。効果を検証する試験のやり方は素晴らしかった。副反応は10万人に1人か40万人に1人で、それも病院ですぐ対応できて救うことができる。何万人もの勇気と壮大な最高の方法で検証されているので、“コロナが怖いんだったらワクチンを打とう”と思う」
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