チームを支えるベテラン選手の豪快な一撃で、残留争いに巻き込まれているチームが敗戦濃厚の状況から息を吹き返した。ミドルレンジから放たれた驚愕のボレーシュートに、「すげぇな…これはすげぇ」とファンやサポーターのなかで盛り上がりを見せている。
話題のゴールを決めたのは、フットサル日本最高峰の舞台『Fリーグ』で戦うボアルース長野の荒牧太郎だ。
ここまで勝ち点7で最下位に沈む長野は、残留を争うY.S.C.C.横浜を1ポイント差で追いかけており、24日に行われたエスポラーダ北海道戦では是が非でも勝ち点が欲しい状況となっている。
試合は開始2分に荒牧のゴールで先制すると、そこからお互いがノーガードで打ち合う激しい点の取り合いに。第1ピリオド(前半)は3-4と長野が1点ビハインドで終えた。
迎えた第2ピリオドの開始早々に長野は痛恨の失点を喫してしまい、この試合で初めて2点を追いかける展開に。さらに前半のように得点を積み重ねることができず、時間だけが刻一刻と過ぎていった。
敗戦ムードが漂うなか、荒牧の一撃で状況が好転する。
残り5分の状況で長野は左CKを獲得。ボックス内をゾーンで守る北海道のディフェンスを見て、荒牧はフリーになれるミドルレンジで待ち構えた。するとキッカーから精度の高いボールが荒牧に通る。
荒牧はボールをふかさないようにしっかりとミートに集中。完璧に捉えられたボールは、鋭い弾道で、GKの股下をい抜いてゴールネットに収まったのだ。
あまりにも美しく、あまりにも豪快な一撃に視聴者のコメント欄も「決めたー!!」、「ゴラッソーーーー!」、「打ち抜いた!」と喜びの声が並ぶ。
解説を務めた元日本代表であり、かつてはバルドラール浦安で共にプレーした稲葉洸太郎氏は「荒牧選手はボレーシュートが得意。振り切るわけではなく、インパクトだけでポンと。よく決めましたね」と荒牧のゴールを称えた。
「これでわからなくなってきた」と追加点を期待するコメントが寄せられると、その言葉通りの展開となる。
残り4分、長野は再び左CKのチャンスを獲得する。荒牧は先ほどとは違い、キッカーに寄ってボールを要求。足元に出されたボールをヒールで流すと、青山竜也のゴールをお膳立て。荒牧のアシストで、長野がついに試合を振り出しに戻した。
最終的には5-5の同点で試合を終えた長野だったが、ベテラン・荒牧の活躍で貴重な勝ち点1を獲得。得失点差により最下位は変わらないが、ついに横浜と勝ち点で並んだ。悲願の残留に向けて、長野と荒牧の活躍から目が離せない。
文・川嶋正隆(SAL編集部)
写真/高橋学