「最前線で臨床をやっているドクター・看護師・技術者の方や、直接現場にいる方がまず最優先で、そのあと段階を踏んで合計4グループに分けて、順番に接種していくという形だった」
ファイザー社のワクチン接種を受けたのは、アメリカのマサチューセッツ総合病院 脳神経外科に勤務する柳澤毅医師。病院内のスタッフ約2万人を対象に接種が始まり、25日に順番が回ってきたという。
気になる副反応については。
「打った印象というのは、インフルエンザのワクチンとほとんど変わらない。筋肉注射だがほとんど痛みもなく、ただその日の当日の夜、インフルエンザの時にもみられる局所の筋肉痛のような痛み、腕がちょっと重くなるような感じはあった。かゆみも赤みも腫れも一切なく、ちょっとしたいわゆる筋肉痛みたいな鈍痛があるのみ。その痛みも24時間以内にはほとんどなくなった。(副反応など体調の変化は)全く普段と変わりない」
マサチューセッツ総合病院では、ワクチン接種を受けた後にもし何らかの症状が出た場合、報告を義務付けているという。
「腕が重い、痛いという話は、10人受けたら8人くらいは経験するというデータがあるが、中には軽い頭痛やちょっとした倦怠感、関節痛が出たといった方はちらほらいるようだ。受けた後の3日間はそういった症状を事後報告するように義務付けていて、もし普通とは違う症状、強い倦怠感や38度以上の発熱だとかがあった場合は報告して、念のためコロナの検査を受ける。これで新型コロナがプラス(陽性)になるというわけではなく、いわゆるワクチンの反応が強く出た場合にそういった症状が出るということ」
日本では27日、ワクチン接種に向けた大規模訓練が行われるなど、ワクチンへの関心は日に日に高まっている。3週間後には2回目の接種を控える柳澤医師。アメリカ内でのワクチンへの認識については、次のように語った。
「やはり最初、そういった心配する声は多少あった。ただ日本のメディアで言われてるほど、副反応などを心配する声はあまりアメリカではない。それ以上に今、もちろん日本の感染者も増えているが、アメリカも今月上旬に最大1日30万人に増えたりしているので、感染そのものに対するリスクの方がワクチンに対する心配を上回っているという印象だ」
■「変異していくウイルスに対して、ワクチンも逐一検証を」
新型コロナワクチンの生産について、日本政府と1億2000万回分の供給を契約する英アストラゼネカ社は、3000万回分は3月までに輸入予定で、9000万回分は日本国内で生産する方針であることがわかった。関係者によると、国内での製造はJCRファーマ(兵庫)、第一三共(東京)、KMバイオロジクス(熊本)などが担うという。
日本でのワクチン製造について、遺伝子解析ベンチャービジネスを展開するジーンクエスト代表取締役社長の高橋祥子氏は「アストラゼネカ社のワクチンは、mRNAではなくてアデノウイルスというものを使ったワクチン。無毒化されたチンパンジーのウイルスに、新型コロナウイルスに反応するタンパク質を入れたものを体に打つことで、体内で抗体ができて新型コロナウイルスにさらされた時にも対応できるという仕組み。こういったものが技術的にできることはわかっていたが、それをどう量産して届けていくかが課題ではあった。それを量産する技術を持つ会社が日本にあり、供給量の課題をクリアできるというのはいい点だと思う」と話す。
また、新型コロナウイルスの“変異型”が発見されていることについては、「そもそもウイルス自体がRNAという一本鎖のつくりをしているので、変異しやすい性質を持っている。変異したから危ないとかどうこうではなく、“ウイルスだから変異する”という話。変異した時に性質が変われば変わらない場合もあるということで、どういう性質に変わったかというところが重要な点だと思う」と指摘。
今の変異型は「感染力が高まっているということは言われているが、感染力が高いものが生き残っていくというのがセオリーだ」とした上で、変異型に今のワクチンが効かなくなるという懸念については「その可能性は否定できないが、現状の変異だとワクチンの効果があるということも検証されている。どんどん変異していくウイルスに対して、今後も逐一検証していく必要がある」と述べた。
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