いま日本で密かなブームとなっている「Clubhouse」というアプリ。アメリカ・サンフランシスコ発のベンチャー企業が2020年春にリリース。最大の特徴は“音声のみ”のやりとりに限定されていることだ。
アプリ内には「room」と呼ばれる様々なテーマの部屋があり、興味のある部屋に入って自由に他の人の会話を聞いたり、許可を受ければ会話に参加することも可能。“音声版Twitter”とも言われている。
音声のみとあって、映像や文字のやり取りは一切できない。roomを作る際には、一般に公開するのか、仲間内だけで行うのか(Open、Social、Closed)を決定。ルーム内では、“会話をすることが出来る人”“会話を聞いて楽しむ人”が表示される。
日本でも有名企業の社長や有名人が続々と始め、討論会やファンとの交流会のような使い方もされていて、すでに利用者は世界で200万人に達している。
しかし、誰もが始められるわけではないのがClubhouseのもう1つの大きな特徴だ。Clubhouseは“完全招待制”で、すでに利用している人から招待を受けない限り始めることができない。さらに、招待できるのは1人2枠まで。SNS上では招待を希望する声が飛び交っている。オークションサイトやフリマアプリなどでは一時、「招待される権利」が1万円前後で売り買いされるほどだった。
なぜClubhouseは人々の心をつかむのか。ITジャーナリストの鈴木朋子氏も、人気の最大の理由に招待制をあげる。
「招待制ということでみんな見たくても見られない、『私だけ取り残されてるんじゃないか』という焦燥感で人気が沸騰しているのかなと思う」
急拡大する背景にはこんな理由も。
「今“目”は忙しくて、SNSも見るしウェブサイトも見るし、常に何かを見ている。“耳”はわりと空いていると言われていて、音楽くらいだったのが、もっと楽しいエンタメがあると気づいたんだと思う」
公開されて間もない日本では、コンテンツが少ないのが現状。鈴木氏は、今後のコンテンツの充実に期待を寄せる。
「(日本では)始まって間もなくて、ほとんど手探り状態。本当のコンテンツ出てくるのはこれからなので楽しみ。私は音楽を選んだら、海外の方がセッションしているのを生で聞けたりとか、ボーカルがどんどん入れ替わっていくといういい瞬間に立ち会えた。(現状)日本人のコンテンツはまだ少ないので、海外のユーザーのルームを見ると楽しみ方が変わると思う」
Clubhouseは日本で流行るのだろうか。『ラブひな』などが代表作で日本漫画家協会常務理事の赤松健氏は「日本では少し馴染まないような気もしている。我々日本人は顔を見て空気を読んで話すタイプなので、声だけでコミュニケーションするのは難しいのではないか」とする一方、自身の興味については「漫画家のルームがあって、そこで話している内容はすごく興味がある。同業者飲みのようなコミュニティーアプリになってくるといいかもしれない」と話す。
また、フリーアナウンサーの柴田阿弥は「招待してもらったが、友達が多い人向けのアプリだなと。本当に話す人がいない場合は参加できないな、“陽キャ”向けだなと思った(笑)。ただ、聞くだけでも楽しめるし、みんなでゲームをするにはいいのではという話も耳にした。私もYouTubeを音声だけで聞いて髪の毛を乾かしたりと“ながら作業”をすることがあるので、そういう時にいいのではないかと思った」と語った。
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