1発が致命傷になる重量級戦でのカウンター合戦の末に、強烈な右フックをカウンターで打ち抜かれた身長約2メートルの長身ファイターがグニャリと垂直に崩れ、頭からキャンバスに叩きつけられるという衝撃的なクライマックス。さらにカウンター被弾の瞬間、敗者の口からマウスピースとともに“白い何か”が飛び出すダウンシーンに「歯が飛んだ?」「マウスピースが…」「千年に一度のKO劇だ」など、ネットが一時騒然となった。
1月29日に放送されたONE Championship「ONE: UNBREAKABLE II」でのキックボクシング戦。ミハイロ・ケイコビッチ(セルビア)とベイブラット・イスアエフ(ロシア)の対戦は、1ラウンド、イスアエフが正面からの打ち合いで劇的なKO勝利を収めた。
ケイコビッチはABEMAでゲスト解説を務めた高橋遼伍も「長身の長いリーチから強烈な右や打点の高いヒザなど武器が多い」と一目を置く実力者。相手を次々となぎ倒す過去の試合からもその強さは実証済みだ。一方、イスアエフはONEのデビュー戦で1ラウンドTKO負けを喫したこともあり、試合前の下馬評は“ケイコビッチ有利”だったが…。
試合は高速フックの連打を叩き込むケイコビッチに対し、距離を縮めフックとローで対抗するイスアエフという構図。右のストレートにキレのあるケイコビッチは相手が後退すると、さらに前に出て左ミドルなどを繰り出していく。ただ、イスアエフもフックの連打で打ち合いに応じ、引く気配を一切見せない。
ケージ中央で両者の激しい打ち合いが展開されると、やや高さや距離感にも慣れたか、軽快にステップを踏みはじめるイスアエフは、顔面に右ストレートを受けながらもフックで応戦。両者、被弾を恐れずに拳が行き交う緊迫のノーガードの打撃戦に…。
ヒリヒリする展開の中、衝撃的なクライマックスは突然訪れた。プレッシャーを強めたケイコビッチが前に出てパンチ、ミドルと一気呵成に叩き込むと、再びイスアエフが足を止めて打ち合いボディショット。対するケイコビッチの左が空を切り、右を振り下ろしたところで、イスアエフは相手のアゴ目掛けてカウンターの右フックを打ち抜いた。
ダウンシーンは壮絶そのもの。198センチの巨体が被弾の衝撃でグニャりと崩れ落ちると、くの字になりながら自らの足に頭を強打。その反動で跳ね上がり頭からキャンバスに落下すると、レフェリーが駆け寄って両手を広げ、すぐさまゴングを要求した。
実況を務めた西達彦アナウンサーも「貰ってしまったアゴに一発の刹那! これが怖いライトヘビー級」と重量級ならではの一撃必殺のKOシーンに絶叫。この震えるような場面に視聴者も「お互いフルスイングだ」「まずいぞこれ」「凄い入り方」「一撃伝説だ」「すげえの見れた」と大興奮で反応した。
スローシーンではパンチを貰った瞬間に身体だけでなくケイコビッチの首がグニャリと曲がり、パンチの衝撃の凄まじさを物語る。しかも、パンチを貰った瞬間にケイコビッチの口からマウスピースとともに“白い何か”が飛び出し、視聴者からは「歯が飛んだ?」「千年に一度のKO劇だ」「マウスピースが…」と驚きと心配の声が。一方では「攻め急いだなケイコビッチ」など、敗因を指摘するコメントも寄せられた。
その後、改めて西アナウンサーが「今まで見た中でも崩れ方の危険度一番じゃないですか」と振り返ったKOシーンについて、ONEの公式SNSでも世界中のファンからコメントが寄せられ「相手のアゴを狙うつもりが、気づいたら天を仰いでたな。もう少しボクシングコーチと時間を過ごしたほうがいいだろうな」との声。さらに「今年のKOオブ・ザ・イヤーの候補に入れておこう」など、やや気の早い年間ベストKOの声まであがっていた。