将棋ファンならどこかで見たポーズ…。ただこれを、天才棋士がしているのを見れば、改めて注目の的になる。藤井聡太王位・棋聖(18)が1月29日、竜王戦2組ランキング戦で阿久津主税八段(38)と対戦。93手で勝利を収めた。この対局中、若き実力者が見せたのは、自分の横に置いてある脇息に突っ伏すようなポーズ。ファンからは「ぐだる聡ちゃんかわいい」「ひふみんアイを脳内でやってる」と、様々な感想が寄せられた。
目の前の盤に駒が並んでいるのに、あえてそれを見ずに顔を伏せる。目元にハンカチをあて、ぐったりと脇息に倒れ込むような姿は、一瞬泣いているように見えなくもない。もちろん、本当に泣いているわけではないが、この日の藤井王位・棋聖はしばしばこのポーズを取った。昼食休憩後の時には、食後の眠さがあるのかという憶測も飛んでいた。
将棋ファンでなければ、体調でも悪いのかと心配もしたくなるところだが、有名な前例があるからこそそうはならない。名人3期の実績を誇る佐藤天彦九段(33)は、熟考する際に同じように脇息に持たれたり、正座の体勢からそのまま深くかがんだりといったポーズを取る。サンリオのキャラクター「ぐでたま」並みに倒れ込むため、「ぐで」といった言葉が頻繁に使われる。
実は藤井王位・棋聖も、この「ぐでポーズ」は以前から採用している。注目された対局で言えば、昨夏に木村一基九段(47)と戦った王位戦七番勝負でも行っていた。あまり頻繁にしてはいないものの、対局中のひとつのスタイルとして体得しているようだ。
とはいえ、長時間対局の中でも数十秒、数分といったものだけに、見慣れないファンも多いようで「新スタイルか」という声も多く見られた。また「天彦ポーズに惚れたな」というものや、盤面を相手側から見て構想を練る加藤一二三九段(81)からきた「ひふみんアイ」を脳内で展開しているのでは、という指摘もあった。
藤井王位・棋聖といえば、対局開始時にお茶を一口飲むために「初手お茶」と言われるようになって久しいが、目から入る情報を遮断し、頭の中で考えるこのポーズにもいずれ、新たな名前がつくかもしれない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)