「梨泰院も真っ暗…」5人以上の集まりや収容施設からの脱出に罰則も…厳しい韓国のコロナ対策、日本も真似すべき?
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 日本が緊急事態宣言の延長を決定する中、同じく新型コロナウイルスの第3波に襲われ、年末には過去最多となる1241人/日の新規感染者が確認されたこともあった韓国。ところが年末年始を境にピークアウトし、現在では300人台/日にまで減少を見せている。

・【映像】韓国が選んだ"厳しい行動制限"

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 背景にあるのは、日本よりも強力な行動制限を伴う措置だ。若者が集まるカフェに対しては店内の終日利用が禁止されるなど、日中の人出も抑制されている。2日の『ABEMA Prime』では、その影響と最新の状況について、ANNソウル支局の良永晋也記者に話を聞いた。

 韓国の対策の大きな特徴の一つが、ソーシャルディスタンスの徹底だ。「ほとんどの施設で午後9時以降の営業を禁止、さらに5人以上で集まった場合には罰則も付けている。これについては警察、行政がきちんと見回りをして、摘発もしている。そして、そのことをアナウンスするので、ニュースでも映像がバンバン流れる。実名報道とまではいかないが、やはりどのあたりの店かは分かってしまうし、その抑止力は侮れない。みんなで決めたルールを守らない人に対して罰則があるのは当然だ、という感覚の人も多いと思う」。

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 一方、日本と同様、これらの措置による経済への影響は深刻だ。行政の指示に従った場合も、日本円でおよそ19万円の支援金が一度出るのみ。しかも違反をすれば、最大で28万円の罰金が科されることになる。

 「確かに生活が制限されるのは決して気持ちの良いことではないし、反発する声もある。また、飲食店やスポーツジムの経営者たちからは、自分たちの経営を圧迫するようなことを国が強制していることに対する反対デモも起きている。実はこれまで一度も営業補償がされていないので、そこを求める声も大きい。『梨泰院クラス』というドラマをご覧になった方は、梨泰院=若者で賑わう、キラキラした街、というイメージを持たれていると思うが、今は半分くらいの店が閉まっていて真っ暗だ。明洞など、観光客で成り立っていたエリアもかなり厳しい状況になっていると思う。政府も零細企業に対する補償制度を作ろうと動いているが、これ以上の財政赤字を増やすわけにはいかないとして、日本の財務省にあたる企画財政部が抵抗、対立が深刻化している」。

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 また、臨時のPCR検査会場、「生活治療センター」の整備だ。「生活治療センター」は昨年から整備が進められており、現在、68カ所・約1万1900床が確保されているという。入所者の食費や滞在費は無料で、体温計や生活必需品に支給される。その一方、入所者が外部と接触しないよう、監視カメラやスマホのGPSによる監視も行われており、抜け出すなどした場合は1年以下の懲役、または94万円以下の罰金が科されることになっている。

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 「PCR検査を誰でも匿名・無料で受けられるようにするという、無症状感染者の“炙り出し”策も行われている。政府から“1世帯に1人は受けて下さい”という案内が来たので、私も取材を兼ねて受けてみた。ほぼ1日で結果が出た。政府によると、これにより数千人規模の無症状感染者が出てきたという。さらに医療機関に負担をかけないよう、ここで判明した無症状感染者たちの隔離施設「生活治療センター」を拡大させている。国では“K防疫”という言い方をしているが、2015年に起きたMERSの苦い教訓を生かして感染症予防のための法律を改正し、政府が一般の研修所などを臨時に借り上げてこのような施設を作れるようにした。やはり韓国でも一時期、待機中に亡くなったという方がかなり出て問題になった。政府も医療機関に軍や学生を動員するなどして、医療体制の充実を図った。その成果か、最近では待機中に亡くなったという報道は聞かなくなった」。

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 良永記者は妻と4人の子どもの6人で暮らしている。2週間前からは通常保育に戻ったというが、やはり生活には不便さも感じているという。「5人以上の集まりが家の中も外も禁止されている。家族は例外だが、やはり皆さんが自粛をしている中なので、堂々と出かけられるような雰囲気ではない。もう1カ月以上、家族全員で外に出かけるということはほとんどしていない」(良永記者の妻)。

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 良永記者も「韓国では第3波が広がって以降、こうした措置を段階的に強化していった。結果、2、3週間後ぐらいに感染がピークを超えてきているので、やはり効いてきている、短い期間に抑え込みつつある、というふうには言えるのではないか。ただし実効再生産数を見ると0.95まで上がってきているので、ここから少し上がってくるんじゃないかという予想も出ている。収束させることの難しさを感じる」と話していた。

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 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「日本人はすぐに“海外の事例の方がすばらしい”と言いたがるが、このような規制を伴う韓国モデルを日本でも実際に導入するとしたらどうだろうか。去年第1波の頃、細かい規制については反発をしたのではなかったか。それはダブルスタンダード以外の何ものでもないと思うし、日本人には“空気”に従う国民性、国情があるし、そういう他国との違いを考慮しなくてはならないはずだ」と指摘する。

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 「日本でも実効再生産数は下がって来ているわけで、決してうまくいってないわけではない。それなのにメディアの報道を見ていると、日本の方針は全てダメだという論調になるし、一部のテレビ番組では“海外のように全員PCR検査の方がいいんだ”という主張もある。しかし受けた翌日に感染する可能性があることを考えれば、全員が検査を毎日受けなければならないということにもなってしまう。また、感染者への罰則を設けてしまえば、むしろ検査を逃げる人が出てきてかえって感染が広まるリスクにもなる。あくまでもクラスター潰しを粛々とやっていくという現状の日本の基本方針が妥当なんじゃないかと思うし、今ここで韓国のマネをして方針転換しても、混乱を招くだけではないか」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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