3日、オンラインで行われたJOCの臨時評議員会の中で「女性がいると会議に時間がかかる」と発言した東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長。組織委員会は8日正午までに、競技運営などに関わる約8万人の大会ボランティアのうち、約390人が辞退したと公表した。12日には理事会と評議員会による臨時会合を開催、発言への意見を表明するとともに、男女共同参画への組織委の今後のイニシアチブについて議論する予定だ。
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森会長の女性蔑視発言について、ニューズウィーク日本版編集長・長岡義博氏は「慰安婦問題と構造が似ている」と指摘。「女性の人権問題だとピンと来ていない」と語る。
「日本の保守派の人は『歴史的事実としていわゆる従軍慰安婦は存在しなかった、だから海外の批判は間違っている』と主張している。だが、海外から慰安婦問題は女性の人権問題として見られていて、戦時下の特殊な状況とはいえ、女性をそのような状況においたこと自体が問題だと考えられている。森会長の女性蔑視発言も同じで、森会長とその周辺の人は海外から見てこれが深刻な人権問題であることが身に染みて分かっていないのだろう。この問題が解決しない理由にこの認識ギャップがある」(以下、長岡義博氏)
物議を醸し続けている森会長の女性蔑視発言。森会長は辞任を明確に否定しているが、ネット上では「辞任すべき」という声も上がっている。
「逆に、周囲が83歳の森さんに会長としての責任をいつまでも押しつけているのもどうなのかと思う。バッハ氏との個人的な信頼関係もあると思うが。森会長が中心になって動いて決まった東京オリンピック・パラリンピックとはいえ、もし立場に留まることで実現が危ぶまれるなら、個人的には自ら身を引くべきだと思う」
自民党では「森会長がいないと東京オリンピック・パラリンピックが回らない」という意見もあり、森会長の続投を支持している。これに長岡氏は「本当に森会長がいないと回らないのか」と語る。
「日本オリンピック委員会会長(JOC)の山下泰裕さんも世界的に名が知られている元アスリート。例えば山下さんに代わるのも1つの案なのでは。森会長自身や周辺は『(問題が)長引いているがそのうち収まる』と思っているかもしれないが、この問題はそう簡単には終わらない」
17日には、森会長が橋本聖子五輪相、小池百合子都知事、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長との4者会談を予定していたが、記者団の取材に応じた小池都知事は「今やってもポジティブな発信にならないので、出席することはない」とコメント。事態がどのように収束するか、注目が集まっている。
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