2月11日、チャリティーボクシングイベント「LEGEND」が代々木第一体育館で開催された。医療従事者と患者を支援するための大会で、行われたのは3分3ラウンドのエキシビションマッチ。元K-1王者の武居由樹、世界3階級制覇の八重樫東、内山高志など豪華な面々が集結した。
そのメインイベントで実現したのは、文字通りの夢対決。日本ボクシング界が生んだ最高傑作と言うべき世界王者・井上尚弥と、元WBC世界王者、現WBOアジアパシフィック王者の比嘉大吾のマッチアップだ。エキシビションながら、あるいはエキシビションならではの顔合わせと言える。
井上は大会に向け「手を抜いた公開スパーリングなんて誰が見たい?」と“ガチ”勝負をアピール。最終ラウンドにはヘッドギアを外すことにもなった。「全力でいきたい」という井上の意向を受け、ここまで会場を盛り上げてきた場内実況・解説もメインではなし。
緊張感の高まるリングに登場した井上と比嘉。日本におけるバンタム級最高峰の闘いは、お互い序盤かは強打を見せる。その中で目立つのが上下に打ち分ける井上の左だ。
2ラウンドも井上が的確な攻撃。接近戦ではアッパーの連打、ワンツーからのボディも強烈だ。舞に出る比嘉だが、井上の連打に動きが止まる場面も。
そして3ラウンド、両者がヘッドギアを外すと観客から大拍手。井上はサウスポーにスイッチする場面も見せつつ、展開を支配する。ノーガードから一転しての連打など、凄まじい強さを見せつける井上は笑顔も。アッパーを連続で突き上げると、比嘉のアゴが思い切りカチ上げられた。
エキシビションのため判定はなし。とはいえ観客は井上の圧倒的な強さに魅力されただろう。
「これはあくまでスパーリング。普段は見せない動きもありましたけど、手を抜いていたわけではありません。ガチでやらせていただきました」
リング上でそう語った井上。初の試みを見事に締めくくった。