“LINEでワクチン相談”発案した日本人医師「自分を守るだけでなくみんなで助け合う気持ちで」 SNS上で起こりうる“副作用への反響”に注意も
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 先週開設されたLINEのチャットボット「コロワくんの相談室」。ワクチン接種の調整を担う河野太郎大臣がTwitterで紹介するなど、手軽にワクチンの知識を得られる手段として注目されている。

【映像】河野大臣も紹介した「コロワくんの相談室」

 開発に携わったのは10人の若手医師。そこには、いったいどんな思いがあったのか。『ABEMAヒルズ』は、発案したアメリカ・マウントサイナイ医科大学病院の山田悠史医師に話を聞いた。

 「ニューヨークで私自身がワクチン接種に携わってくる中で、やはり実際に一般の方に接種が始まった後にだんだんワクチンが“自分ごと”になってくるので、自分に関連するワクチンに対する疑問とか不安が高まってくると思う。ニューヨーク市内でも相談窓口のようなコールセンターが準備されたが、残念ながらすぐにパンクをしてしまった。私自身も電話をかけてみたが、30分間保留音が鳴り続けたという経験をした。これでは人々の不安がますます高まるだけというような状況になり、なんとか少しでもいち早く情報にたどり着けるような場所があったほうがいいだろうということで、日本の(ワクチン接種の)準備期間に何か届けられることはないかと」

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 ワクチン接種に対する不安や疑問を少しでも解消したい。そんな思いから、山田医師を中心に若手医師10人が集まり、1月から動き始めたという。

 「厚生労働省のウェブサイトや、米国のCDCとよばれる機関のウェブサイト、それから主要な論文、SNS上で流れるデマ情報、こういったものをすべて拾い集めて、そのうち最も関心が高いだろうと思われる60個をまず選択して、回答を準備して掲載させていただいた」

 自身もアメリカで既に2回接種を済ませている山田医師。接種の翌日に肩こりのような症状はあったものの、体調に問題はないという。65歳以上の高齢者が感じるであろう不安については次のように促す。

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 「まず1点、安心材料に使っていただきたいのは、少なくともこれまでの報告によれば、高齢者の方が相対的に副反応の出現頻度は低かった。一方で、中には高熱が出たりだるさが出たりというような方もいるので、若い方と比べて38度の熱が出るとフラフラして転んじゃったといったことは十分起こりうるので、接種後の体調には十分注意を払っていただいたほうがいいかなと思う」

 ワクチン接種による副反応。妊婦が接種しても大丈夫なのか、LINEのチャットボットには早くも利用者からの疑問が殺到しているという。一つひとつの不安を解消しながら、ワクチン接種について前向きに検討してほしいと山田医師は訴える。

 「多くの方が“新しいワクチン”という響きに不安を抱えていらっしゃると思うし、一人ひとりがいろいろな価値観をお持ちの中で、私自身『全員に接種してください』というようなことを申し上げるつもりはない。しかし、少し冷静になってこの1年間を振り返っていただくと、そもそも感染症との闘いで強い不安を抱えてきた1年だったんじゃないかと思う。今回の感染症では特に不安とかリスクを、自分だけではなくて自分の接するあらゆる方、大切な人たちと共有してきた1年でもあったと思う。ワクチンで自分のことを守るのも大切だが、そういった方たちの顔も思い浮かべながらみんなで助け合おうというような気持ちで、ワクチンについても前向きに検討していただけたら嬉しいなと思っている」

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 ワクチンについて、『WIRED』の「免疫を“逃避”する『変異株』にワクチンは効く? mRNAワクチンの副作用とは?」という記事では、変異株とワクチン接種のせめぎ合いとなり、ファイザー・ビオンテックのワクチンは有効性がわずかに低くなる変異株もあると紹介。変異株に対抗するワクチンを新たに開発中だとしている。

 『WIRED』日本版編集長の松島倫明氏は「いまやソーシャルネットワークの情報を誰もが受け取っているなかで、ワクチン接種がこれから進むとその外れ値というか、極端な副作用が出たという個人の投稿が増えてくるはずだ。SNSでシェアされると、そうした情報だけが溢れ副作用がものすごく多いような印象を持たれるということが、これから起こると思う」とSNS上での反響について懸念を示す。

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 ワクチンの情報についてはメディアの伝え方が重要な一方で個人のリテラシーもまた必要となる局面にきていると指摘。「ある種の副作用が起こることに対して、どこまでが正常な副反応なのか、自身の体のコンディションによってどういう反応があり得るのかといった情報を、医師だけでなく一人ひとりがきちんと掴んでいくことが重要だ。これから変異株がもっと出てくれば、“ワクチンの効果が95%から80%に落ちた”といったニュースが続き、それだけ聞くと誰もがまた不安になる局面も出てくると思う。そうした中で、ワクチンを接種することが自分自身だけでなく、社会にも効果をもたらすことを考え、社会としてスマートに対処していければ」と述べた。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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