東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が、自身の発言の責任をとり、辞任を表明した。森氏の後を継ぐ新会長は誰になるのか、世間の関心が集まっている。
新会長選出の流れは、下記の通り。
■理事の中から選出する場合
・理事会で推薦された候補者を選挙
・理事の過半数が出席し、その過半数の賛成で決議
■理事以外から選出する場合
・候補者を理事に選任した後、評議会に推薦
・理事の過半数が出席し、その過半数の賛成で決議
【映像】安倍前総理の名前も…東京五輪・パラリンピック 新会長選出の流れ
候補者検討委員会は、御手洗冨士夫委員長を中心に10人未満の理事で構成されており、男女比は半々、アスリート中心(JOC関係者も含む)、メンバーや会議は非公開で候補者選定後に過程を公開する。
後任として取りざたされているのは、安倍晋三前総理大臣、前スポーツ庁長官の鈴木大地氏、五輪担当大臣の橋本聖子氏、スポーツ庁長官の室伏広治氏、JOC理事の小谷実可子氏などだ。
このニュースに「ABEMAヒルズ」に出演したコメンテーターで臨床心理士の藤井靖氏は「女性一択だと思う」と見解を示す。
「今回の森氏の辞任劇に関わる心理的な背景を見ると“2つのアンチ”がある。『ある程度仕事ができれば性格や問題発言はどうでもいい、失言なんて気にしたら仕事も話もできない』という価値観に対するアンチと、もう1つは女性に対する決めつけや区別、ラベリング、無理解がある。そういうものに対するアンチ。五輪はジェンダー・イクオリティやダイバーシティを体現する存在。トップに立つ人はそのようなアンチテーゼの心情を汲み取っていかないといけない」(以下、藤井靖氏)
後任候補としては11日、元Jリーグチェアマンの川淵三郎氏が浮上し、川淵氏も引き受ける意向を示していたが、12日に急遽辞退。会長人事は白紙に戻った。
「後任として川淵三郎氏の名前が上がったとき『また高齢の人か』『また男性か』という声が一部で出ていた。これに対して『女性蔑視と同じじゃないの?』と批判の声が上がったが、同じではないと思う。特にジェンダーギャップの問題は非常に根深い。男性優位の社会や仕組みが文化として根付いてしまっていて、歴史的に女性は自分一人ではどうにもならない経験をたくさんしてきている。不利益を被ったことによる蓄積されたフラストレーションもあるだろう。公平にするための“一時的な不公平”も必要なのではないだろうか」
その上で、藤井氏は「これは建設的な意味での“感情論”」として「女性が納得できる存在」がトップに立つべきだとコメント。
「論理では適材適所や『その立場にふさわしい人を男女関係なく選べばいい』という考え方もわかるが、女性がこれまで受けてきた不利益のマイナス分をまずは少しずつでも解消していくために、女性が感情的に納得できる後任が必要」とした。
また藤井氏は「『余人をもって代えがたい』などという話が出るときには、どうも政府や政治との連携・調整が重視されているような、旧来的な発想が感じられる。例えば組織のトップに立った経験が少ない人なら、周りがサポートすればよい。『誰々じゃないとできない』ということはこのポストに関してはほとんどないんじゃないかと思うので、既成概念に囚われずに選任して欲しい」と訴えていた。
物議を醸すジェンダー平等への理解。新会長の就任に注目が集まっている。
(ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)
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