学歴は“超えられない壁”なのか? 「年金すら払えない…」中卒女性が明かす苦難
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「学歴不問は“中卒OK”ではなかったのだ」

 苦しい胸の内を書きつづったnoteの投稿が話題を集めている。これを書いたのは現在無職で20歳の月光(げっこう)さんだ。

【映像】学歴と収入の関係性 中卒・高卒・大卒それぞれの平均年収(30分ごろ~)

 彼女の頭を悩ませている「学歴の壁」。日本では学歴による収入の差が大きく、中卒と大卒で平均年収ではおよそ200万円以上の差がある。生涯年収に換算すると、男女ともに5000万円以上の差があることになる。

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 後から大検を受けるなどして、高卒資格を得ることもできるが、今の日本社会では学歴の差が経済的な格差につながっている。

「両親が勉学について厳しい人だった。父自身もいい学校に行っていたので『それ以外の人生なんて存在しない』みたいな感じで。『なんで100点じゃないんだ』という態度。成績が低いと自分自身を否定されたような気になってしまって、自分っていらない人間なんじゃないかって。『なんで学校に行けない? なんでうちの子は普通じゃないの?』 と母親に涙されて、不登校にもなれず、学校にも居場所がなく。一時期はペンを持つことすら怖くなっちゃうくらい、追いつめられた」

 中卒になったきっかけを明かす月光さん。「勉強」自体がトラウマになり、高校を中退。その後はアルバイトで生活を続けてきたが、将来を見据え、安定した仕事を求めて就職活動を開始した。だが、そこで身に沁みて感じたのは中卒への厳しい現実だった。

「学歴不問と書いてある仕事でも、実際は高卒以上を求めているとか。(面接も)言葉では言われないけど『え? 中卒?』と思われる。中卒というだけで切り捨てられちゃうんだ、とすごく傷ついた」

 中卒という学歴だけで判断され、不合格を押されてしまう日々。就職活動に専念して1カ月、コロナの影響もあり、現状は思うようにいかない。

「今は残高が6万円。国民年金すら払えていない」

■「学歴よりも職歴」3Backs代表・三浦尚記氏が描くキャリア支援の形

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 高学歴は高収入、低学歴は低収入――……一概には言えないが、中卒と大卒の生涯年収を比べると、現実では男女ともに5000万円以上の差がある。はたして“学歴だけで判断される社会”は正しいのだろうか。中にはそんな現状を打破しようと、支援するサービスも誕生している。

 「再生、更正、復興」をテーマにキャリア支援サービスを展開する3Backsでは、学歴や職歴の障壁によりキャリアを築けていない若者に対して、2年間の雇用型インターンシップを提供する『リバラボインターンシップ』を実施している。

 3Backs代表の三浦尚記氏は「リバラボインターンシップは中高卒、フリーターの若者のキャリアを再生することが目的。社会人向けのインターンシップをメインでやっている」と話す。

 インターンシップと聞くと、短期間の職業体験というイメージを持つかもしれないが、三浦氏の会社では、すぐに社員として雇用する。2年かけてビジネスマナーの研修や営業などの実践研修を行い、するとインターンを終える頃には履歴書に「2年間の職歴」が書ける。「学歴が問題になるなら、職歴をその上につけちゃおう」というわけだ。

「実績・キャリアを積み上げることによって、学歴を超えて採用してくれるケースはすごく増えていると感じる。学歴が色濃く残っているが、学歴より職歴だ」

 また、三浦氏は学歴に自信がない若者たちへの支援として「雇用して2年間しっかり実務実績をつけることが大切だ」と明かす。

「従来のインターンシップはアルバイトや職業体験という扱いしかされないが、最初にリスクはあっても、雇用して2年間しっかり実務実績をつけることが大切。最終的に年収のベースも上げた状態で、2年後の就職を支援している」

 また2年間の期限について、三浦氏は「最初はくくりがなかったが、目指す目標がないとなかなか続かないこともあった。採用する企業側も、半年の雇用期間よりも1年、1年よりも2年、2年よりも3年務めていた方が信用してくれる。それであれば、2年かけてしっかり育て上げようと思った」と説明。参加者は2年間かけて雇用、実務、収入の3つを習得でき、社宅を完備することで、生活保証もされる。

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 参加者は2年後、どのように企業に受け入れてもらっているのだろうか。三浦氏は「入口が大事」とした上で、「学歴がない中で這い上がってキャリアを掴むのは大変なこと。今時のノリでやってしまうと、また短期離職を繰り返してしまう。2年間をどのような覚悟を持って臨むのか。面接は5回~6回している」という。

「みなさん面接に来た状態の段階は共通点がある。エントリーの時点で、思い描いていた理想よりも人生がうまくいっていない。何のせいにしていいかわからなくて、社会のせい、上司のせい、親のせいになった状態で来る。その状態で受け入れてもしょうがない。なぜギャップが生じてしまったのか、どうしたら自分がなりたい姿や生活を手に入れられるのか。真剣に考えてもらう。まずはベクトルを自分に向けて、自責の精神を持つこと。覚悟を持って臨むのであれば、素材は全然見ていなくて、覚悟だけ見て採用する」

 採用の判断基準の1つとして色濃く残る“学歴”。しかし、学歴が人生のすべてではない。転職が当たり前の時代になった今、学歴に自信がなくても、理想の仕事にたどり着くルートはどこかに存在するのだ。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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