「出社の標準をリモートワークに」新型コロナのリバウンド防ぐ“ナッジ”とは? 組織に求められる行動変容
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 緊急事態宣言の対象区域について岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県および福岡県の6府県が、2月28日をもって解除された。

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 東京都よりも先に6府県が解除されることになった今回の緊急事態宣言。小池都知事は「都民や事業者の皆さん、1都3県に与える心理的な影響等も考えなければならない」と指摘した。

 解除後に急に人出が増え、再び感染が広がる“リバウンド”も懸念されている。感染症対策分科会でも、卒業旅行や歓送迎会、お花見といった春先の恒例行事を感染再拡大のトリガーとして見ている。

「出社の標準をリモートワークに」新型コロナのリバウンド防ぐ“ナッジ”とは? 組織に求められる行動変容
「出社の標準をリモートワークに」新型コロナのリバウンド防ぐ“ナッジ”とは? 組織に求められる行動変容

 東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県も3月7日に解除する方向だと報じられているが、変異株の出現もあり、油断できない状況に変わりはない。再び感染が拡大しないために、私たちはどのような行動を心がければいいのだろうか。『ABEMA Prime』では、強制ではなく、そっと行動を変えられる工夫「ナッジ」を専門家とともに考えた。

■緊急事態宣言解除でリバウンド懸念 「食べずにダイエット」と同じ状況

 東北学院大学准教授でコロナ禍の行動変容を研究している佐々木周作氏は「同じことでも、言い方の工夫で伝わりやすさ、人の行動変容のしやすさは変わってくる」と述べる。

「感染予防を心がけてもらうときに『その行動があなた自身の命を守ることになる』と『他の人の命を守ることになる』の言い方が2つある。私たちが昨年やってきた研究では、この2つの言い方における効果を比較した。前者の“自分の命”という言い方になるとあまり外出を控える行動に繋がらないが、一方で他者を意識する言い方では、実際に飲食店の利用や交通機関の利用が減る結果が出た」(以下、佐々木周作氏)

「出社の標準をリモートワークに」新型コロナのリバウンド防ぐ“ナッジ”とは? 組織に求められる行動変容

 しかし、緊急事態宣言が首都圏で解除され、GoToトラベル事業が再開すれば、飲食店や旅行に行く人も増える。佐々木氏は「この1年間、あらゆる人たちが言い方の工夫をしながら、要請をしてきたが、今後リバウンドをどのように抑えていくか。やはりもうひと工夫、ふた工夫が必要だ」と話す。

 自粛も大切、経済活動も大切……――私たちはどのような意識を持って緊急事態宣言解除を受け入れれば良いのだろうか。

「緊急事態宣言のような大きなメッセージだと、多くの人が『自粛しないといけない』という意識になるが、(解除後は)『自粛も経済活動も大事だ』と言われる。これをダイエットに例えると、ケーキを目の前に置きながら『食べずにダイエットしなさい』と言われている状況と同じ」

「緊急事態宣言時よりも、解除後はかなり忍耐力が必要になると思う。自粛も大事だが、経済活動も大事だとなると、コントロールがとても難しい。言い方の工夫で激しいリバウンドは防げるかもしれないが、完全になくすことはできない。ある程度の感染者が出ても、受け入れられる医療提供体制をつくるなど、同時に別の方向でバランスを整えることも重要だ」

■「出社」の標準を「リモートワーク」に 会社、組織、社会全体にナッジを!

「出社の標準をリモートワークに」新型コロナのリバウンド防ぐ“ナッジ”とは? 組織に求められる行動変容

 行動経済学に取り入れられているナッジ(nudge ※「そっと背中を後押しする」の意)とは、人々が選択・意思決定をする際にどのように感じるかを踏まえて、その人があるべき行動を取りやすいよう選択の範囲を工夫することだ。ナッジの手法の1つとして、その場にいる人の声が大きくならないよう、BGMの音量を下げるなどの行動が挙げられる。

「出社の標準をリモートワークに」新型コロナのリバウンド防ぐ“ナッジ”とは? 組織に求められる行動変容

 すでにコロナ対策において、街中でもさまざまなナッジが取り入れられている。例として、間隔を空けて並んでもらうために地面に足跡をつける、「となりの人は石鹸で手を洗っていますか」と書かれたポスターを貼るなど、ソーシャルディスタンスや手洗いを促す対策があらゆるところで見られるようになった。

 佐々木氏は実験の結果、前述のポスターメッセージが「石鹸の消費量が一番多かった」としたが「監視社会、他の人の目を意識させることの行動変容よりも『もう少し自発性を促すようなナッジがより望ましいのではないか』という意見もある」と話す。その上で「今まで日本は『一人ひとりの行動を変えてください』と十分やってきたが、みんなそこは頑張ったという実感があるのではないか。最後は組織、会社や団体に行動変容が求められる」と指摘した。

「出社の標準をリモートワークに」新型コロナのリバウンド防ぐ“ナッジ”とは? 組織に求められる行動変容

【佐々木氏が提唱する行動変容案】

・個人だけでなく会社・団体全体にナッジを!

・現在は「出社」が標準になっているので、標準を「リモートワーク」にして「出社」を許可制に

「リバウンドを少なくするために、個人だけではなくて、組織や会社、団体にナッジをかけていくことが必要ではないかと思う。出社を統制する会社なら『あなたの業種だったら、これくらいの企業がリモートワークをやっています』など、他社の情報を会社側に出していく。リモートワークをベースにして『出社したい場合は申請してください』という体制にすれば、私たちも行動を制御しやすいし、効果が見込めるのではないかと思う」

 組織や会社にも必要な行動変容。緊急事態宣言の解除が迫る中、感染再拡大の防止策に注目が集まっている。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

【映像】緊急解除でリバウンド懸念も...人の行動を変えるヒント
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