3月7日までとされていた緊急事態宣言。大阪、愛知、兵庫、福岡などの6府県は2月28日付で解除すると発表されたが、首都圏については、当初の予定通り今月7日付での解除となる見通しだ。

 西村大臣が飲食店を念頭に「何とか感染を抑えなければならないので、改正特措法45条の規定の適用はあり得る」と話せば、東京都の小池都知事も「お願いから一歩踏み出すことも考えられる」などと話し、時短要請に従わない飲食店への罰則の適用を示唆した。

 そんな中、罰則をいとわず営業を続ける飲食店のオーナーもいる。「ちゃんこ玉海力」のオーナーである河邉幸夫さんだ。河邉さんは元幕内力士で元総合格闘家。自慢の塩ちゃんこが人気の店だ。

【映像】一律6万の補償は「モラルハザード」

 夜8時以降にお店を訪ねてみると、店内は満員御礼。常連客だというある女性は「行くところもないので嬉しい。毎日来るわけではないので」と話す。

 河邉さんが通常営業を続ける理由に「夕食難民の多さ」があるというが、今回の特措法改正により30万円以下の過料が科せられる可能性もある。そのことについて「払いますよ。決まったことは払わないと。覚悟はしています。仕方がない。何回来るかは分かりませんが…」と話す。さらに河邉さんは「経営的にはマイナスになるだろう。黙って6万円もらえるんだったら閉めてる方がいいかもしれない」と複雑な思いも明かす。

 それでも河邉さんが時短営業の要請に従わずに通常営業を続けるにはある思いがある。

「1日の売り上げが2万、3万という日もあった。それでもスタッフの成長を考えて通常営業にしようと決めた。うちは若いスタッフが多い。人は働いて対価をもらわないとダメになる。3時間営業で普通に終わって給料をもらっていたら、人間おかしくなる。きちんと仕事をした方がいい。体を動かしてなんぼ。お客さんに喜んでもらってなんぼ」

 “働く意義”についても河邉さんは次のように話す。

「社員は子供のようなもの。子供を育てるのは親の役目だし、きちんと働いて汗水たらしてお金をもらう。達成感を得る。それが成長」

 河邉さんの考え方について社員の男性は「若い時しか苦労はできないと社長は言ってくれる。社長の決断がそれなら、僕らはついていくだけ」と心境を明かしたが、リモート、ソーシャルディスタンス、時短営業などが望まないスタンダードとなった若い世代はどう考えるのか? ある大学生のアルバイト女性が「自分の1時間を1000円で売っているくらいのモチベーションでアルバイトをしているから、そこまで求めてくるのか」と戸惑いを示せば、他の男性は「緊急事態宣言が解けてしまったらまた感染者数が増えてしまうと思う。熱い気持ちは伝わるが、大人の意見を押しつけすぎだ」と率直な本音を漏らした。なかには「補償をもらうというのは当然の権利。それを行使するのは悪いことではない。それに対してダメになるというのは精神論なのでは」と疑問を呈す意見や「若者を低く見すぎ」とする厳しい意見まで聞かれた。

 “働く意義”について、労働者の団体である全国ユニオンの関口達矢事務局長は「若いときに仕事で得た経験はその後の人生に大きく影響してくる。感染防止といえども一定の機会が奪われてしまうというのは、働いている人たちにとっていいことなのかどうか、という部分もある。政府はいくらかお金を出すと言っているが、お金を出すという問題だけで済むのか改めて考えることが必要」と指摘する。

「精神論ばかりで実用的ではない」

 そのように主張するタレントの鈴木紗理奈は「頑張って働いたからこれだけお金が稼げたということに縛られすぎている。若い子はもっとドライで、どうしたら楽をしてお金を稼げるかという時代になってきている。クリック一つで稼げる仕事もある。今の時代を生き抜く術を教えてもらった方が、今の若い子たちにはありがたいのかもしれない。精神論ばっかりで実用的ではない」と河邉さんの考えに懐疑的な見解を示す。

 特措法違反で過料が科される可能性、さらに他の店が時短要請を守っている状況下で通常営業を続けること、また前述した若者らの指摘などについて河邉さんは「精神論で営業しているわけではない」と否定したうえで「去年の半分くらいは時短や休みだったが、その間も給料は払っていた。今年1月も時短営業に応じていた。ただ、若い子たちは夜8時以降、普通に飲みに行ったり遊びに行ったりする。飲食以外は普通に開いているのだから当たり前だろう。外に行って感染するリスクを考えたら、感染対策をしているお店で働いていた方が安全だし、自らの経験にもつながる。そんな思いで2月8日から通常営業をしている」と考えを説明する。

 河邉さんが通常営業を続けるその他の理由に「生産者」の存在もある。「小さな飲食店は時短どころかみんな休んで6万円をもらっているところも多い。取引のある酒屋からは『収入8割減』という話も聞く。生産者も大変だ。うちはノーマルに戻して、供給量を増やして少しでも貢献したいと思った」と理由を述べる一方、時短要請や店舗の大小にかかわらず1日6万円の補償という国の対応については「例えば神奈川県の外れの小さなスナック。1日1万や2万くらいしか売り上げないところでも休めば1日6万円。我々のように銀座などの一等地でも6万円。昨年の納税額に合わせて補償を出すなどあってもおかしくない。それに飲食以外は全く普通の生活だ。夜8時以降といっても、昼も夜もウイルスの強さは一緒のはず。おかしいと思うことはある」と率直な思いも明かした。

 一連の問題について国際政治学者の舛添要一氏は「飲食店における感染は全体の1割程度。ほとんど7、8割が家庭や高齢者などの介護施設。なぜ国はデータに基づいた対応をしないのか。また去年の売り上げは税務署が把握しているはずだ。ドイツはその売り上げの75%を補償で出す。(1日で)1万しか稼いでいないところが6万円、家賃を100万払っているところも6万だったら、モラルハザードでおかしくなる」と主張し、国に対してきめ細やかな対応を求めた。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)

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