吉永小百合松坂桃李広瀬すず西田敏行らが出演する映画『いのちの停車場』が5月21日(金)より全国公開。この度、同作を彩る楽曲情報が明らかになった。

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 都内の高齢者医療専門病院に勤務し、命の終わりを真摯に見つめる現役医師でありながら、作家として「サイレント・ブレス」(2016年刊行)や、NHKにてテレビドラマ化され話題を呼んだ「ディア・ペイシェント」(2018年刊行)を世に送り出した南子による「いのちの停車場」(幻冬舎)。今の日本の長寿社会における現代医療制度の問題点やタブーに正面から向き合い、それらに携わる医師、患者、その家族が描かれたその感涙の物語を、『八日目の蟬』(2012)や『ソロモンの偽証 前篇・事件 / 後篇・裁判』(2015)などの成島出がメガホンを取り、映画化する。

 在宅医療を行う主人公の医師を演じるのは、日本を代表する女優である吉永小百合。吉永を支える共演として、松坂桃李、広瀬すず、西田敏行をはじめ石田ゆり子、南野陽子、柳葉敏郎、小池栄子泉谷しげるら豪華キャストが集結した。

エンディングテーマの作曲は村治佳織

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 映画『いのちの停車場』のエンディングテーマは、「歌詞のない女声のヴォーカリーズ」の楽曲。作曲を務めたのは、幼少のころから数々の賞を総なめにしてきたクラシックギタリスト村治佳織。数々のコンクールで優勝し15歳でCDデビューを果たすほどの活躍で、2004年発売のアルバム「トランスフォーメーション」は第19回日本ゴールドディスク大賞クラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤー<洋楽>を受賞するなど、デビュー以来クラシック界のトップランナーとして君臨し続ける存在だ。同作の製作総指揮であり、今回のエンディングテーマの発案者である東映グループ元会長・岡田裕介から直接作曲のオファーを受けた村治は、音楽人生初となる本格的な作曲での楽曲提供に挑戦し、岡田の示した「人生」というテーマを表現。時間をかけて丁寧に作曲し完成した同楽曲は、映画ラストの繊細なメッセージをつぶさに聞いた人の心に訴えかけてくれる名曲となった。

 さらに村治は、主演吉永との縁が非常に深いことで知られており、その関係は吉永のライフワークでもある原爆詩の朗読CDに村治のギター演奏をBGMとして選曲したことからスタートした。今では誕生日を祝い合ったり、ともに旅をしたりするほど仲が良く、まるで姉妹のような間柄。2013年の舌腫瘍の際に心の支えになったのは吉永の存在であり、吉永のことを“私の大切な方”と語っています。さらに、吉永が主演を務めた『ふしぎな岬の物語』(2014)でメインテーマ「望郷」の演奏を担当しましたが、それは村治にとって大病休養後の記念すべき復帰の舞台であった。

 自らが慕う吉永の作品、そして病気からの復帰舞台となった東映作品のためにと思いを込めて作曲したデモテープ。それを聞いた岡田は非常に満足し、楽曲のすばらしさに太鼓判を押した。

応援歌の作詞は小椋佳

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 村治の作曲したテーマに心躍らせた岡田は、「エンディングとしては歌詞のない女声ヴォーカリーズを採用し、それに歌詞を付けて製作できないか」という案を出します。映画のテーマである “かけがえのないひとつひとつの命”を鼓舞する応援歌という位置づけで2つ目の楽曲を製作することが決定。

 その応援歌の作詞を務めたのは、言わずと知れた名シンガーソングライターの小椋佳。「夢芝居」、「愛燦燦」など数多くの名曲の作詞を手掛け、布施明や中村雅俊、堀内孝雄ら著名なアーティストにも楽曲を提供してきた小椋は岡田とは旧縁であり、俳優であった岡田が小椋のファーストアルバム「青春~砂漠の少年」のジャケット写真とナレーションを務めた際、そのジャケット写真が当時顔出しをしていなかった小椋の肖像だと誤解されて話題を呼んだ逸話もある。実際の二人の交友関係は、岡田と吉永の初タッグとなった作品『動乱』(1980)の主題歌「流れるなら」の作詞作曲を任された頃から始まり、その後も『北のカナリアたち』(2012)の応援歌「あなたに逢えて」、『北の桜守』(2018)テーマソング「花、闌の時」など岡田プロデュース作品に数々の音楽を提供し、また岡田も思い入れのある作品には小椋の音楽が欠かせないというほどの信頼を置いていた。

 40年来の友情が続く中、2021年に発売した「もういいかい」をラストアルバムとして掲げ、そのスペシャルサンクス欄に岡田裕介の名が刻まれていることからもその関係性を伺い知ることができる。村治のつくったエンディングテーマが非常に良い曲だったからこそ、敬愛する小椋佳に作詞をお願いしようとしていた矢先、岡田は急逝。2020年11月18日、岡田が村治のデモを聞いた、たった5日後の話だった。

 岡田の同作に懸ける並々ならぬ情熱を知っている小椋だからこそ、自身の幕引きを示すラストアルバムを発売したにも関わらず、岡田の遺志を受けこの企画を快諾。小椋は応援歌に込めた思いについて、「私としては「いのちの停車場」を、人生の終点を目的地とするバスを待つ間に、一服するか一息ついて、ひと時「生」について考えを巡らせる場と捉え言葉を紡いでみました。悩んだ末に歌のタイトルも「いのちの停車場」そのもの とさせていただきました。この歌が映画の深みを増す一助となることを祈りつつ。」と語り、「命」や「生」、あるいは「死」をテーマにしている本作、亡き岡田の人生を思ったような歌詞を書き上げた。

※ボーカルは後日発表予定。

応援歌「いのちの停車場」

作詞 小椋佳/作曲 村治佳織

生まれてきたこと それは一つの奇跡

命を授かり 慈しみ受け

健やかに育てられて

殊更 際立つ事もないけれど

あれこれ こつこつとした暮らしの営みの中の

喜びや 悲しみの それぞれを愛しみ

生きて いること感じ

停車場は命のまほろば ひととき 安らぎの場

生きてきた道を はるばると振り返り

これからの道を 遠く地平まで

目を細めて見晴るかす

停車場 いつでも一生懸命

であれと 素朴な志旗影高く掲げ

名も知れず 細やかな 営みを重ねる

そこに 真実の価値

命の輝きを感じる 名も無い 命一つの重さを

敢えて 諭す停車場

人生の長い旅すがら 一息

停車場は命を 見直す場所

吉永小百合コメント

小椋さん、村治さんから大きなパワーをいただき、映画は完成しました。

銀河の向こうの岡田会長にも、歌声を、楽曲を届けたい思いです。

そして、『いのちの停車場』が厳しい状況の中で懸命に生きている方達に

寄り添う先品になりましたら、大変嬉しいです。

吉永小百合

村治佳織コメント

2014年の、吉永小百合さん初プロデュース映画『ふしぎな岬の物語』への参加を通して岡田裕介会長との出会いの機会をいただきました。「今回の映画は、作曲で参加してほしい」と昨年初夏に会長より伺いました。エンディングテーマというスケールの大きさを背負い、考え込んでしまい、なかなかメロディが浮かんでこなかった時に、「映画の内容を音楽で表そうとするのではなく、あなた自身の経験で感じた不安、その先の希望、見えた青空、やっと登った頂上からの絶景、などを頭に置いて書いてみたらどうか」、と会長よりアドヴァイスをいただき、随分と気持ちが和らぎ、程なくして曲の元となるメロディを完成させることができました。メロディを作る際には、2013年に私が大病を経験したときに、いつも近くで支えてくださった小百合さんへの感謝の思いも、常に心の柱としておりました。

いよいよあと少しで音楽も完成というところで会長の突然のご逝去。直前まで音楽のことでご連絡のやりとりをしていたので、今でも、天に召されてしまったことが信じられませんし、日を追うごとに、もういらっしゃらないのだという哀しみが大きくなっています。レコーディングの時にも、ずっと会長のことが頭にありました。

この曲の存在が私にとって、命について想う、まさしく“いのちの停車場”となりました。

成島組に再び参加させていただき、心より御礼申し上げます。そして多くの方々にこの映画をご覧いただければと切に願っております。

ストーリー

 東京の救命救急センターで働いていた咲和子(吉永小百合)は、ある事件をきっかけに、故郷の金沢で「まほろば診療所」の在宅医師として再出発をする。様々な事情から在宅医療を選んだ患者と出会い、戸惑いながらも、まほろばのメンバーと共にいのちの一瞬の輝きに寄り添っていく。その時、最愛の父が倒れてしまい…。

(c)2021「いのちの停車場」製作委員会

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