まずは打倒“楽天経済圏”、そして日本社会のDXに貢献? ヤフーとLINEの経営統合の先にあるものとは
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 1日、ZホールディングスとLINEが経営統合、国内最大規模のIT企業が誕生した。シニア層を含むパソコンユーザーに強いYahoo!Japanと、若年層を含むスマホユーザーに強いLINE、さらに決済サービス最大手のPayPayを中心とした200以上の既存サービスを連携させ、「3年後の2023年度の売上収益は2兆円、営業利益は過去最高益となる2250億円を目指す」(川邊健太郎Co-CEO)としている。

・【映像】ヤフー×LINE大型統合でスマホアプリはどう変わる?


■ケンコバ「ニュースは統合されない方が有り難い」

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 一般のユーザーにとって関心が高いのが、これまで競合関係にあった両社のサービス群だろう。1日の発表会で川邊氏が「スーパーアプリ化する可能性のあるアプリが、なんと贅沢な事に3つもあると私は思っている。LINE、PayPay、そしてYahoo!JAPANアプリだ」と述べた通り、LINE Payは来月にPayPayに統合されていくことが明らかになっている。一方、ネットメディア分野で国内で圧倒的影響力を誇るYahoo!ニュースとLINE NEWSについてはユーザー属性が異なるとして、統合しないことを明言している。

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 「すごいことが起こるんじゃないかとワクワクしてますよ」と話すケンドー・コバヤシは「連絡はほとんどLINEで取っているし、電話もLINEの音声通話が多い。ニュースと天気はYahoo! JAPANで一日に一回以上は見ている。ただ、ニュースはLINE NEWSでも見てるし、ここは統合されるよりいっぱいあったほうが有り難い」とコメント。

 また、「ウツワ」代表のハヤカワ五味氏は「クレジットカードも使っているし、LINE Payの方が好きだったので、PayPayに統合されると聞いて動揺した。しかも子会社のジャパンネット銀行が“PayPay銀行”に名称変更するという。これも衝撃だった。ジャパンネット銀行は口座が作りやすいので、私も含めてベンチャー企業の人たちがよく利用しているが、これから書類に“PayPay銀行”と書くと思うと嫌すぎる」と苦笑する。

■まずは打倒“楽天経済圏”?

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 ハヤカワ氏同様、ジャパンネット銀行を使っているというジャーナリストの佐々木俊尚氏は「主にパソコンでインターネットが使われていた時代にはYahoo!が独占的な存在だったが、スマホ時代には乗り遅れた面があり、最近ではPayPay以外、あまり大きな印象もないと思う。ただ、決済の分野さえ掴んでおけば、その上にSNSやメッセージングアプリ、タクシーや旅行の予約などを乗っけることができる。これは中国のアリババが成功しているモデルだ。一方、LINEはメッセージングアプリとしては皆が使っているものの、その上に乗っけようと一生懸命にやってきた他のサービスの部分が成功しているとは言い難い。その点で言えば、すでに銀行やクレジットカード、ポイントサービスなどの経済圏を作り、全てを楽天ブランドの中で完結させようとしている楽天の方が成功しているとも言える」と指摘する。

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 また、両社の経営統合が報じられた一昨年11月、ドワンゴ社長で慶應義塾大学特別招聘教授の夏野剛氏は、決済サービスを普及させるために両社が利用者への還元などに巨費を投じていることを念頭に「両社の体力を奪っているし、決済データを集めて何をするのかビジョンも見えない。僕が社長なら、2つともすぐやめる」と断じている。

 ITジャーナリストの西田宗千佳氏は「多くの方は還元率やキャンペーンなどを見てどれを使うかを決めていると思うので、利便性を考えて統合するというのもいいんじゃないか、というのが今の判断のようだ。ただ、LINE Payは海外でも使われているし、クレジットカードでも使われているので、いきなり無くなってしまうと皆さんが困るので、サービスそのものが完全になくなるわけではない。一方で、別々のバーコードを使い分けるのは不便だということで、バーコードを見せる、いわゆるスマホ決済としてはPayPay1本になると考えていい。逆に言えば、LINE Payというアプリの中でPayPayの決済機能が使えるようになるということだ」と説明する。

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 「ある意味では夏野さんのおっしゃるとおりだが、お店をリクルートし、LINEの公式アカウントや決済サービスを使ってユーザーを繋げていけば、同じアプリの中に人が居続けてくれるようになるので、そこから他のビジネスに転換していくという考え方もあると思う。例えばコロナ禍によって飲食店にはケータリングやテイクアウトといったサービスが必要になってきているので、そこの決済システムの部分も含め彼らが提供してあげれば、欲しい物をスマホで探して注文し、お店でピックアップして帰ってくるというように、我々の生活も楽になる。

 どうしても“スーパーアプリ”と言う言葉を使いたがるのは企業側で、ユーザー側としては一つのアプリにまとめられている必要はなく、便利かどうか、使いたいかどうかだ。だから今回の発表会でも、“消費者にとって価値があるものを2社で作る”という言い方をしていた。そういうポーズを見せることで、“海外のものをそのまま盛ってきても成功しないということを我々は分かっていますよ”というメッセージを出しているのだと思う。今までYahoo!がやってきたこと、LINEがやってきたことをもう一度2社で考え直して、消費者が本当に便利だと思ってくれること、価値を感じてくれることをやりましょうという話だ。その中には佐々木さんのおっしゃるように、楽天のようなポイント連携もあると思う」。

■日本社会のDXに貢献?

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 両社の統合の先には一体何が待っているのだろうか。検索、EC、メッセンジャー、金融、メディア、さらに親会社のソフトバンクの携帯電話事業を含めれば、グループ全体ではGAFAにもない幅広いサービス群を擁することになる。さらにAI関連事業に5000億円を投資、AI人材を5000人増員することも明らかにしており、国内、そしてアジアの中でのGAFA、そして中国IT企業の牙城を崩すことを見据えているとの見方もある。

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 佐々木氏は「メディアは“GAFAと戦う”というような報じ方をするが、規模が違いすぎて戦えるわけがない。LINEもそれなりに市場規模のある東南アジアや中南米、中東では流行っているが、欧米ではうまく行かなかった。そして、その東南アジア諸国でもスタートアップが育ってきているし、中国企業の影響力も強くなってきている。AI分野への投資についても、プライバシーに関する懸念が強くパーソナルデータを使いづらい日本ではアメリカや中国のように大量のデータをぶちこんで自由度高くやることは難しいだろう。そうなってくると、最終的には日本国内の市場がこれ以上GAFAや中国企業に荒らされないよう必死に守ろうという“万里の長城”的な発想で行くのかもしれない。

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 ただし、ヤフーとLINEの上にはソフトバンク、孫さんがいる。彼はビジョン・ファンドという10兆円規模の巨大ファンドを立ち上げ、AI分野にも投資を続けているので、やがては育った新しいビジネスを日本に輸入するという方向もありえると思う。実際、ソフトバンクが大株主であるアリババのAlipayとPayPayが連携している。そのようにして、ソフトバンクが日本に持ってくる新規事業や新規技術の受け皿としての役割もあるのではないか。さらに言えば、ソフトバンクという会社は、お金をドカンと集中投下し、地ならしするように世の中を変えていくのが得意な会社だ。2000年代初頭、モデムを無料で配りまくってブロードバンドを普及させた実績もあるし、最近でも、地方の野菜の無人販売所にPayPayのステッカー貼ってあるのを見かけることがある。この力を持ってすれば、田舎の小規模事業者にまでDXを進められるかもしれない。つまり先端テクノロジーというよりは、底上げテクノロジーみたいな話だ」とコメント。

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 西田氏も「例えば決済についてはPayPayの名前を使っていこう、海外事業については東南アジアや台湾で人気があるLINEの名前を使っていこうというのはわかったが、じゃあ銀行が2つある(PayPayに改称予定のジャパンネット銀行と設立準備中のLINE銀行)のはどうなるのか、Yahoo!、PayPay、LINEというスーパーアプリになりうる複数のアプリをどう使い分けるのかといった点についてはとてもふわっとしていて、聞いていてもよくわからなかった。おそらく、それぞれの価値をどこの部分にくっつけて出すかという各論の部分はまだできていないのではないか」と指摘。

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 その上で「GAFAに対抗していこうという意識もあるのだろうが、それはアメリカに出て行って5番目の軸になろうという話ではないし、そんなことはできない。ただ、日本国内で使われるサービスが全て海外のサービスになると困るので、いわば日本の中で、日本人に向けたサービスを作ろうというのが本音ではないか。その先に、もしかするとアジアで展開できるもの、逆にアジアから持って来られるものもあるかもしれないと。そういう意味でのGAFAとの対抗だ。実際、国内にはデジタル化が進んでいない部分で開拓する余地がまだあるし、そこがまさにこれからの日本で重要とされていて、お金も動く所だ。

 また、AI分野についても、なんだかんだ言って日本には優秀な人材がいる。しかしそういう方々が日本企業ではなく、GAFAに行ってしまう現状がある。そこに対する、“給料も働く場所もきちんと用意するので、ぜひ日本に残ってください”、というメッセージもあると思う。そういう中で、日本は弱いと言われているAIの技術開発や実践の部分を強化していきたいということではないか。もしかするとユーザーファーストで日本人が好きなアプリが生まれるかもしれない。期待したい」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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