「この状況に追い込んだのはメディアと知事だ」緊急事態宣言の延長をめぐる論争に夏野剛氏が苦言
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 政府と1都3県が、緊急事態宣言の延長に向けて動き出していると報じられている。

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「この状況に追い込んだのはメディアと知事だ」緊急事態宣言の延長をめぐる論争に夏野剛氏が苦言

 4日の『ABEMA Prime』に出演した作家の乙武洋匡氏は「“70点以下だったら追試だ”って言われたから頑張って勉強して72点取ったのに、“80点以下を追試にする”って言われたら、みんな怒るだろう。“みんなの平均点が75点だったし、この単元はきちんとマスターしておいてもらわないと次が大変になるから”、としっかり説明してくれれば納得できるかもしれないが…」と疑問を呈する。

「この状況に追い込んだのはメディアと知事だ」緊急事態宣言の延長をめぐる論争に夏野剛氏が苦言

 現場で重症者の対応にあたってきた愛知医科大学病院循環器内科助教の後藤礼司医師は「やはり“ゴールポストを動かしたな”という感覚がある。ある目標に向けて動かしてきたのであれば、その結果に回答する義務が政府にはあると思うし、どういう意見が誰から出て、意思決定に誰がどう関与していて、というところはもっとクリアにしても良いのではないか。決して医療者が意思決定をしているというわけではないことも理解してもらわなければならないのに、国民が納得いくような説明を政治が避け続けているようにも見える」と話す。

「この状況に追い込んだのはメディアと知事だ」緊急事態宣言の延長をめぐる論争に夏野剛氏が苦言

 「例えば愛知県でも飲食店への時短要請が緩和される。しかし感染管理としては営業時間以上に、行動の本質を正しくするようにしていかなければならない。そこがうやむやにされたり、いわゆる延長する、しないの議論の中でメッセージが“狼少年”的なものだと思われてしまえば、信頼されなかったり、デマの抑制が難しくなってしまう。政府は強烈なロックダウンなどはせず、“ウィズコロナ”で進んでいこうと決めたはず。この基準になれば一旦解除し、これくらいであれば医療提供体制もなんとか維持できる…といった試算もしているはずだ。その部分をもう少し開示した方が、みんなが迷わなくて済むのではないかと思っている。様々なデマが流れているのを見て、現場では実際に亡くなっている人もいる一方、風邪程度で治る人たちもいるという、この病気の全体像を改めて説明し直すことも必要だとも思う。

 また、春先になってくると、冬場に多い肺炎や心筋梗塞といった疾患の発生が収まってくる。東京で感染症を扱うドクター数人に話を聞いたところ、年末年始の時期は私のいる愛知県同様、東京都の医療提供体制が非常に逼迫していたが、今は少し余裕が出てきているようだ。ただ、専門家会議が全ての自治体の状況を事細かに把握できるかと言えば、それは難しい。それでも僕たちは専門家会議の意思決定に合わせて動くしかないし、それぞれが自分の医療の範囲のことをもって好き勝手に色んな話をするのは、むしろ混乱を生むだけだと思う。あくまでも基準に従い、緊急事態宣言が解除されようがされるまいが、やらなければならない骨太なところを変わらず大事にやっていかなければならないというのが本質だと考えている」。

「この状況に追い込んだのはメディアと知事だ」緊急事態宣言の延長をめぐる論争に夏野剛氏が苦言

 慶應義塾大学特別招聘教授でドワンゴ社長の夏野剛氏は「ここで緊急事態宣言を終わらせようと言わないのは、やっぱりリバウンドしちゃうからと思っているからだ。ただ、総理も説明していたように、今回の緊急事態宣言の狙いは飲食店が中心だ。もっと締めれば感染者数ももっと減らせるが、経済も回さないといけないからだ。結果、学校も企業もそのままだが、会食は二次会も含めて減ったと思うし、感染も爆発的には広まらず、抑制されていると思う。このバランスを狙ったわけだし、実際にいい結果が出ていると思う」との見方を示す。

「この状況に追い込んだのはメディアと知事だ」緊急事態宣言の延長をめぐる論争に夏野剛氏が苦言

 その上で、「ただ、批判的に報道した方がウケると思っているのか、テレビも新聞もこの状況を褒めないし、逆に“早く解除しないと経済が回らない”とか、“飲食店がかわいそうと”“ここで宣言を終わらせよう”ということを言わない。加えて、解除に反対しているのは専門家たちだ。それで政治だけを責めるというのは、責めやすいからではないか。このままでは、年内いっぱい行くかもしれない。そういうことを考えないまま、単に世論に乗っかって色々なことを言う首長もいるが、それは国のお金で飲食を助けてねと言っているだけ。

 例えば去年の緊急事態宣言で東京都は9000億くらいあった予備費を“これで収まる”と思って1カ月半で全て使ってしまった。だから小池さんも積極的なことを言わなくなり、国の言うことを聞かなきゃならなくなったわけだ。つまり先見性がなかったということだ。そういう背景を含めてちゃんと見ていかないと、菅総理が“まだわからない”と言ったら“えっ、解除するのか!”と報道し、知事も含めて“解除しないほうがいい”というムードができてしまう。そしてそれに政府が抗えず、延ばそうという空気が出てくる。確かに政治家は空気を読まざるを得ないのものだが、これまで自治体がどういうことを行ってきたのか、数字の議論、反省会は必ずやったほうが良い。申し訳ないが、こういう状況に追い込んだのはメディアと知事だ」と訴えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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