「長きにわたり碇家の家庭内の事情に精通し食生活一切を管理する、碇家の食事の元となるお金を搾取する、というような本件の主導的立場にあった」(福岡県警捜査本部の会見)。

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 碇翔士郎ちゃん(当時5)を餓死させた疑いで、母親の碇利恵容疑者が逮捕された事件。単なる虐待事件ではなく、背景には共に逮捕された“ママ友”赤堀恵美子容疑者による碇容疑者の「洗脳」「マインドコントロール」「支配」があったと報じられている。

 警察によると、2人は5年前に子どもが通っていた幼稚園で知り合い、家族ぐるみで付き合うようになったというが、赤堀容疑者は碇容疑者に対し「夫が浮気をしている」との嘘を信じこませて離婚に追いやり、裁判費用などの名目で約200万円を詐取。さらに架空のトラブルや実際には存在しないヤクザのことをちらつかせ、総額1000万円以上を奪ったという。

■“洗脳、マインドコントロールの手法と類似”

 4日の『ABEMA Prime』に出演した新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(心理学)は「洗脳というのは殴る・蹴る、あるいは眠らせない、飯を食べさせないといった暴力的な方法を使うもの、マインドコントロールはそうではなく、もっと洗練された方法を使うものと研究者は分類している。碇容疑者は優しく子ども思いであったが、赤堀容疑者と知り合って以降、急激に考え方や行動が変わっていったと報じられているので、やはり洗脳、マインドコントロールによる“心の支配”をされていたのではないか」と話す。

 「過去の事件でも夫と離婚させるというケースがあったが、洗脳、マインドコントロールの手法としてよくあるのが、まず人間関係を断絶し、周囲からの情報を遮断させる。そして頼る相手が自分しかいない、という状況にするというものだ。加えてヤクザのような怖い存在、あるいは立派な先生や占い師とか、さらには神や仏といった“自分よりも上の存在”があることを示唆し、“自分はその指示に従ってやっているだけ”、あるいは“自分はあなたへの怒りを一生懸命抑えている”いった説明をすることで、あくまでも善人として振る舞うことができるようにする。

 大きな組織の場合はこれを学んで何千人を相手にやるし、霊能力者が数人を操るために用いることもある。ある悪質な宗教団体のケースでは、病院から出てきた人に“占ってあげる”と声をかけ、最初は“すばらしい”と言う。しかし一転、“このままだとあなたの家族はとても不幸になる”などとして不安を高めていく。人気商売である芸能界の方なども、そうした不安につけこまれる場合がある。

 個人の場合も、中には生まれつき自然にできてしまう天才的な人もいるし、人を操ることが楽しく、罪悪感を感じない人もいて、家庭内で伴侶を支配することもある。長く持続させなければいけない組織の場合、手法もどんどん洗練され、あまり無茶なことはしなくなるが、個人は一度成功するとエスカレートし、刑事事件になってしまうこともある」。

■“本人はおかしいことをしているとは思えない”

 碇容疑者は赤堀容疑者の要求に応じるため生活保護費にも手を付け、さらには工面のため、借金をしていたとも報じられている。また、「元夫との裁判に勝つためには、質素な食生活を続けないといけない」と、一家に食事制限を指示。結果、翔士郎ちゃんは体重わずか10kg程度と、平均の半分にまで衰弱、死亡するに至ってしまった。

 スタジオの出演者から「自分がおかしいことをしていると思わないのだろうか」との疑問が出ると、碓井氏は「それは私たちが冷静な視点で見ることができているからそう思うのであって、本人はおかしいとは思えない、ということだ。心が支配された状態になると、その人からの言葉だけが絶対なものとなる。離婚をしたことも、子どもにご飯を与えないことも、碇容疑者とっては良いことをしている、という感覚だったのだと思う」と指摘する。

 「マインドコントロール的な手法を使いつつ、食事制限のような洗脳的な手法もやっていく。その点では、これまでの事件との共通点もある、典型的な事件だと思うが、このような被害者は、実は山のようにいる。心理学的には、洗脳やマインドコントロールをした人こそが悪いのだと言いたいが、司法の現場では実行犯が悪いということになってしまう。家族が警察へ訴えたりもするが、洗脳やマインドコントロールを禁ずる法律はないし、大人が自らの考えで共同生活を送ったり、お金を渡したりすることについては関与できない。そういう難しさがあると思う。オウム事件の裁判では知人の心理学者が精神鑑定をした結果、被告がマインドコントロールされていたと主張したが、やはり認められにくかった」。

■“罠にかかるのは、むしろ善人で、常識人で、賢い人たち”

 番組視聴者からは「子育てしているママさんの中には、すごく孤独な人もいる」「ママ友の世界には独特なものがあるなと思うし、子どものこととなると親は視野が狭くなりがち」「洗脳とかマインドコントロールされているんじゃない?と諭して逆ギレされたことがある」といったコメントが寄せられた。

 また、フリーアナウンサーの柴田阿弥は「お子さんを死に至らしめたことは決して許されることではないが、私は絶対に大丈夫とは言い切れない気がする。そもそも私たちは“常識”や“当たり前”を刷り込まれて社会で生きていると思うし、完全に自分の意思だけで動けるという人はそういないのではないか。そして、やはり人間は弱いものなので、苦しい時、辛い時には何かに頼りたくなるもの。それがスピリチュアルなものや、時には良くないものに行ってしまうこともある。今回の事件もセンセーショナルに報じられているが、誰でも洗脳やマインドコントロールをされてしまう可能性あると思う」と訴えた。

 碓井氏も「こうした罠にかかる人は、決して心の弱い人だけではない。むしろ善良で、常識人で、賢い人たちだ。そして、日頃はそうでもない人でも、何かの拍子に不安になることはあるし、そこに巧みにつけ込んでくるケースもある。そこに怖さがある。その意味では、陰謀論にも似ているかもしれない。陰謀論を信じる人たちも、決して愚かではなく、むしろ賢い。情報弱者ではなくて、むしろ情報強者だから引っかかっていくこともある。

 やはり早い段階できっぱりNOと言うことが必要だ。また、“逆ギレされた”という意見もあったが、それもよくあるパターンだ。自分が信じている人のことを悪く言われるわけだから、注意した人こそが悪者になってしまう。このことを踏まえると、人間関係を修復し、“いつでも私たちのところに戻っておいで”という状態を作りつつ、適切な質問をして本人に考えさせていくというのが、基本的な脱出のための作戦だ」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

EXITりんたろー。「過去に似たような経験をしたことがある。心を支配される苦しみ、抗えない怖さはわかる」
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