政府は10日、今夏の東京五輪・パラリンピックについて、海外からの一般観客の受け入れを断念する方針を固めた。
海外客の来場がなくなった場合、見込んでいるチケット収入の減少が予想される。また、払い戻し手続きにも経費がかかるなど、損失は計り知れない。
このニュースにニューズウィーク日本版編集長の長岡義博氏は「海外客を受け入れるのは無理だろう」と見解を示す。
【映像】「国民の理解が得られない…」海外客受け入れ断念を決めた2つの理由
「2019年に日本で行われたラグビーワールドカップのときは、およそ41万人の海外客が来た。先日行われたテニスの全豪オープンは選手と関係者でおよそ1200人だったが、東京五輪・パラリンピックは、おそらくその10倍になると言われている。それだけでも大変なのに、加えて41万人以上の海外客を受け入れるのは無理だろう」(以下、長岡義博氏)
変異株など、新型コロナウイルスの感染状況が見通せない現状では、国民の理解も得られにくい。次の問題は、日本国内の観客を入れるのかどうかだ。
「観客がほぼ日本人になると、日本人選手にとっては有利かもしれないが、『それなら行かない』と参加をやめる海外の有望選手が出てくるかもしれない。来日による感染のリスクもある。不完全な五輪・パラリンピックになるのはやむを得ない」
また、一部の報道で出たスポンサー枠における海外客の入れについて、長岡氏は「お金があれば海外から日本に来られることになってしまう」と指摘。「公平性に問題が生じる」と語った。
先行きが不安な今夏の東京五輪・パラリンピック。政府は来週中にも国際パラリンピック委員会(IOC)、国際オリンピック委員会(IOC)と5者協議を行い、正式に発表する見通しだ。
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