昼間は歩行者天国となっている東京・丸の内のオフィス街。走っているのは、自動運転バスだ。
三菱地所などでつくる大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会では8日、自動運転バスの実証実験を開始した。ソフトバンクの子会社で、自動運転サービスの開発などを手掛ける「BOLDLY(ボードリー)」と連携し、およそ350メートルの距離に低速の小型バスを往復させている。
車体には、センサーが搭載されていて、人が前を横断すると、自動的に止まるようになっている。歩行者専用の道路を自動運転の車両が走るのは、国内初だ。
去年、同協議会は「大丸有スマートシティビジョン」を策定。ITやデータを活用し、丸の内地区のスマートシティ化を目指している。実証実験は、人と自動運転車両がどう共存できるか検証することを目的に、14日まで行われる予定だ。
このニュースに建築家のサリー楓氏は「自動運転の技術自体は成熟しつつある」と話す。
「成熟しつつあるのに、これまでは私有地内における実験がほとんどだった。実際の道路で実証実験をしようとすると、法律の壁があった。自動運転車ではないが、セグウェイ(電動立ち乗り二輪車)も公道では乗れないなど、制約がある。今回、公共機関が期間とエリアを定めて公道で実証実験を行うことができた。非常に新しい動きだ」(以下、サリー楓氏)
法律の壁を乗り越えての実証実験。自動運転をめぐる通信業者3社(NTT、KDDI、ソフトバンク)の覇権争いは、今後どのようになっていくのだろうか。
「各社が『この分野でプラットフォーマーになりたい』と本気で開発を行っている。一方で、自動運転やそれを支えるインフラの規格を乱立させてしまうと、今後多くの街に広がったときに、契約している通信事業者によって使い心地が変わるサービスが出てくるなど、互換性がない状態に陥ってしまう。各社自由に競争しながら、互換性やデータモビリティを意識して、開かれた技術として開発していってほしい」
確かに、NTTと契約しているユーザーが自動運転者に乗りたいときに「競合の自動運転車だから乗れない」となってしまう現実はかなり不便だ。
「海外でも同様の自動運転サービスは出ているが、各社が一緒に作っていかないと共倒れになったり、国際的なプレゼンスが発揮できなかったりする。日本として海外に売り込んでいくという視点で、協業できる部分は協業しつつ、データを開いていくのも重要だ」
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