LINE、日本ユーザーの個人情報が中国委託先で閲覧可能に 専門家「個人情報保護法違反の可能性もある」
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 無料通信アプリ「LINE」が中国の関連会社にAI開発などを委託する中で、中国人技術者が利用者の個人情報にアクセスできる状態にしていたことが17日、わかった。

【映像】「説明が不十分だった」親会社のZホールディングスのコメント

 委託先の会社の技術者は2018年8月以降から、日本のサーバーにある利用者の氏名や電話番号などの個人情報、またLINE上の会話履歴などにアクセスできる状態だった。

 親会社のZホールディングスによると、これまでに少なくとも4人の技術者が32回、これらの個人情報にアクセスしたが、現時点で情報の悪用は確認されていないという。

 個人だけでなく、自治体の利用も広がっているLINE。データ管理に問題はないのだろうか。ニュース番組「ABEMAヒルズ」が、情報セキュリティ大学院大学の湯淺墾道副学長に話を聞くと「一番の懸念は、利用者の情報にアクセスできた4人が個人情報を持ち出していないかどうかだ」と語る。

 そもそも、なぜ中国の企業にAI開発を委託したのだろうか。湯淺氏は「中国は日本よりも非常に技術力が高い国になっている」とした上で「それが低コストで委託できるから、今回はコスト面を考えて中国に委託したのだと思う」とコメント。

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 中国人スタッフ4人には、利用者の名前、電話番号だけでなく、メールアドレスやLINEのIDなどを閲覧する権限が与えられていた。

「LINEは今、政府や地方公共団体と連携して、いろいろなサービスを展開している。今後調査して、情報保護に問題がなかったかどうか明らかにしてほしい」(以下、湯淺墾道副学長)

 Zホールディングスは「同意を得たうえでデータを第3国に移転するとお伝えはしていたものの、具体的な国を示しておらず、説明が不十分だったと認識している」とコメントを発表。はたして「規約を具体的に書いていなかった」で済む問題なのだろうか。

「そういう問題ではない。事実関係をきちんと調査して明らかにすべき。情報を取得することができた中国人スタッフ4名から、外に漏れていなかったのかどうか。他の個人情報が見られる状態になっていなかったか、調査して公開するべき。公開される内容によっては、個人情報保護法に違反している可能性もある。もし法律に違反する状態があったとすれば、謝罪して、法律違反しないような状態にするべき」

 また、中国のサイバーセキュリティ法では、技術者は中国政府の指示に従って、調査に協力する義務がある。

「中国政府は最近新しい法律を作っていて、どのような資料があるのか、技術者に命令できるようになっている。もしかしたら、(中国人スタッフ4人は)そういう命令を受けていたかもしれない。その部分も調査が必要だ」

 3月1日にZホールディングスと経営統合したばかりのLINE。国内最大規模のIT企業として、利用者への詳しい説明が求められている。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

【映像】LINE情報が中国企業に? 専門家解説
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