アメリカの“ノアの箱舟”計画に『WIRED』日本版編集長・松島倫明氏「地球にも寿命がある」
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 アメリカのアリゾナ大学の研究チームが、地球滅亡に備えて「月に“ノアの箱舟”を建設する」と計画を発表した。

 「ノアの箱船」は旧約聖書の物語。主人公・ノアが神に命じられて木で箱舟をつくり、世界中の動物の“つがい”を一組ずつ乗せて、大洪水から守ったという内容だ。CNNによれば、研究チームはこの計画を地球上の670万種のための「現代のグローバル保険」と命名。気候変動や自然環境の破壊などによって起きる、生物多様性の激減に備え、種子や卵子を凍結保存する。それを月の地下トンネルなどに隠しておくことで“地球滅亡”が起きた場合でも「遺伝物質を守ることができる」とした。

【映像】「月に“ノアの箱舟”を」アメリカの研究チームが発表した計画内容

アメリカの“ノアの箱舟”計画に『WIRED』日本版編集長・松島倫明氏「地球にも寿命がある」
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 2013年に約200の地下溶岩洞が見つかっている月。洞窟は100メートルの直径があり「太陽放射や微小隕石から種子などを守る完璧なシェルターになる」と研究チームは想定している。

 このニュースに『WIRED』日本版編集長の松島倫明氏は「面白い計画だ」とコメント。「宇宙科学者から見ると、僕らが住んでいる地球という惑星自体にも“寿命”がある。これから何億年、何十億年と経てば、いつか地球はなくなってしまうだろう」と見解を示す。

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「僕たち人間が、地球が破滅しても生きていくつもりであれば、地球から外に出ていかないといけない。これは決められた運命で、他の惑星への移住は昔からSF作品にも描かれている。決して想像力だけではなく、現実としてこの事実がある」(以下、松島倫明氏)

 しかし、計画には、種子や幹細胞の保存に適した温度にするための「冷凍ロボット技術」が未完成であることや、無重力状態が種子に及ぼす影響が分かっていないなど、課題も多く残っている。研究チームは、地球上の670万種のおよそ50サンプルを月に輸送するためには、250回のロケット打ち上げが必要になると推定しているが、長い年月と手間をかけて実行する意味はあるのだろうか。

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 松島氏は「地球の生物種が非常に早いスピードで絶滅している。毎年、数万もの生物種が絶滅して、地球からいなくなっている」と指摘。

「生命の多様性を考えると、2050年には生物種が今の半分くらいになるのではないかといった説もある。7万年前、地球では火山が噴火して、ものすごい数の生物種が亡くなった。また大規模な火山の噴火が起きれば、人類自体が絶滅する可能性もある。先日、約2000年前に書かれた聖書の原型ともいえる『死海文書』が発見されたが、月に遺伝物質を保管しておけば、同じように遠い未来、宇宙人が見つけてくれるかもしれない」

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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