北欧を起点として世界に伝播した暗黒音楽ジャンル、ブラックメタル。その誕生と発展の背景には、若者が血を流し、伝統ある教会が炎に包まれた黒歴史があった。3月26日より順次公開の『ロード・オブ・カオス』は、そんなブラックメタルのオリジネーターとされるバンドMAYHEMの中心メンバーと、その周辺が巻き起こした衝撃的事件の数々をつまびらかにする実録音楽青春映画だ。
MAYHEM創設者で、のちに刺殺される哀しき主人公ユーロニモスを演じるのはロリー・カルキン。あの『ホーム・アローン』シリーズでお馴染みの天才子役マコーレー・カルキンの実弟だ。ABEMA TIMESではジャパニーズブラックメタルバンド・SIGHの川嶋未来氏協力のもと、ロリーに単独オンラインインタビューを実施。兄マコーレーとの兄弟仲やホラー映画好きな一面を語ってくれた。
米国での『ロード・オブ・カオス』完成上映会の際にはマコーレー同席で本作を鑑賞したという。現在40代に突入した元天才子役の反応はいかに!?「とても気に入っていたみたい。何て言っていたか正確に思い出してみるよ。うーん、あ、そうそう、ラブシーンは嫌だったみたい。殺人や血のシーンは大丈夫だったのに、僕がキスしてるシーンは勘弁してくれって！作品は気に入ってくれたようだけれど」と兄のウブなリアクションに思い出し笑い。
マコーレーが本作を鑑賞したように、ロリーも兄の作品は毎回鑑賞するらしい。中でもマリリン・マンソンも出演した『パーティ★モンスター』（2003）が大好き。「何故ならば、マコーレーが出た他の作品とは違うものだから。彼は子供の頃から子供向け映画にたくさん出演しているけれど、これは彼が関わったダークな作品の1つ。僕はそういう作品で彼を見るのが好きなんだ」とその理由を明かす。
兄弟仲はかなり良さげ。となると期待したいのはマコーレーとの兄弟共演だが「ぜひやりたい！いつかね、いつか。『ロード・オブ・カオス』や『パーティ★モンスター』の流れにある映画で共演できたらクールだろうね。血が出てくるような作品で」と前向きだ。
どうやらロリーはホラー映画が好きなようで、これまで自信が関わった中での思い出深い作品として『スクリーム4：ネクスト・ジェネレーション』を挙げて「ウェス・クレイヴン監督というホラー・マスターとの出会いは素晴らしい経験だったよ」と今は亡きホラー映画界の巨匠を追悼する。
それだけに血塗られた音楽史を紐解く『ロード・オブ・カオス』には乗り気だった。しかも監督はスウェーデンのバンドBATHORYの元ドラマーで、MAYHEMメンバーとも親交のあるジョナス・アカーランド。リアルかつエキサイティングな物語になることは目に見えていた。
ロリーは「台本を初めて読んだときは興奮したよ！興奮した理由の一部は、放火シーンさ」と倫理観の面で心配になるが「子供の頃にニュースで見た記憶があったからね。どこか遠くでキッズたちが教会を焼いていると。もしこういった行為がなければ、このジャンルの音楽が海を越えて知られることはなかったかもしれないから。恐ろしい行為で有名になったというのは興味深いことだよ」としっかりとした理由がある。
ライブシーンでの顔面白塗りコープスペイントも挑戦したかったことの一つで「やってみたらとても興奮したよ！このプロジェクトを引き受けた理由の1つがコープスペイントと言えるかもしれないね。コープスペイントを施して鏡を見て、一番イーヴルに見えるアングルを見つけることも演じる上での課題だった」とこだわりのポイントに挙げる。
普段はJefferson AirplaneやLed Zeppelinなどの60、70年代のロックを好んで聴いているそうだが、本作をきっかけにブラックメタルにも興味が湧いた。「最初は音楽とも思えなかったけれど、何度も繰り返し聴いて、ギターの弾き方を学ぶと音楽として認識できて、まったく違う聴こえ方になった。グロウルの中に歌詞が聴こえるようになって、リスペクトするようになったよ」。ロリーは俳優業を通して、悪魔的音楽の扉をノックしてしまったようだ。
『ロード・オブ・カオス』は、2021年3月26日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほかにてロードショー！以降順次公開
テキスト：石井隼人
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