東京都五反田で今月から「バンタンクリエイターアカデミー」が開校する。同校は、YouTuberなどの次世代クリエイターの育成を目標とする専門スクールだ。「YouTuberなどの次世代クリエイターの育成」をテーマに、動画制作やサムネイル作成、さらにはマーケティングの授業など、さまざまな技術を身につけるカリキュラムが組まれている。
【映像】模擬授業の様子 人気YouTuber講師「経験や知識は隠さない」
数多くの有名YouTuberが所属するUUUMとも連携し、生徒は自身のYouTubeチャンネルを開設。在学時からチャンネルの収益化を目指し活動する。まさに“YouTuber養成校”とも言えるような学校だ。ニュース番組「ABEMAヒルズ」の取材日には、入学予定の学生たちに向けた模擬授業が行われていた。
校舎内にはさまざまなシチュエーションを想定した教室があり、授業ではプロのクリエイターたちが直接指導するという。その中の一組、チャンネル登録者数約36万人の人気YouTuber・PKAチャンネルさんが講師として来校。PKAチャンネルさんは、実践的な技術が学べるだけでなく、同校が生み出すプラスアルファの可能性にも期待を寄せている。
「自分が実際毎日クリエイターとして活動している経験や知識はなるべく隠さず、全てさらけ出す感じで、話している。実際に教えていく中で、すごく才能のある方や『いいな』と思った方は、むしろこちらから声かけて今後一緒に僕たちとお仕事をさせて欲しいなと思っています」
教科書では学ぶことができない、リアルなYouTubeの裏側。授業を終えた学生たちにも授業の感想をインタビューした。
「ちゃんとしたYouTuberになっていくにつれて、お仕事の依頼を完璧にこなしていらっしゃった。そういうのになるのって大変なんだなって」
「タイアップとYouTuberの関わり方は本当に知らないことがたくさんあったので、本当に勉強になった。帰ってもGoogleで調べようと思った」
年々、ますます勢いを増すYouTube業界。今年には500億円を超える市場規模になるとも言われているが、なぜこの「YouTube戦国時代」に同校を立ち上げたのだろうか。
「テレビ広告をインターネット広告が超えて、インターネット動画が明らかに急成長している。そこで働く方々のニーズが実際に高まっている。一方、小中学生のなりたい職業ランキングでYouTuberがトップに入ってきた。それぞれのニーズの高まりに対して『教育業界はどのようになっているんだろう』と見たとき、そこにまだ何もなかった」(バンタン 事業開発本部・沼田伸一副本部長)
双方のニーズにより実現したスクールの開校。今年は当初の募集定員100名を大幅に超える225名が入学する。YouTubeをどうやって教育に落とし込むのだろうか。沼田さんは「企業との提携でノウハウを得たとしても、いかに実践力を身につけさせられるかが課題だ」と話す。
「教室の中で学ぶことは学ぶが、大事なのはそれをどう実践していくか。カリキュラムとしてはその教えた内容を実践させていく動画制作実習を別の授業の枠で設けている。その中で一人一人ちゃんとチャンネルを持たせて自分のある意味“仕事”としてやっていくことを通じて、実践的に学んでいく。その経験を生かして、さらに企業で長期インターンシップをすることでよりその実践力を高めていくようなカリキュラムを考えている」
まだまだ大きな可能性を秘めているという動画コンテンツ。沼田さんは、今後のクリエイターの育成とその未来にこう話す。
「このスクールを通じてスターが生まれて欲しい。技術に関しては、いわゆる動画を活用していかに情報発信していくかの勉強。YouTubeに限らず、動画メディアの人材として必要になると思う。YouTubeの学校ですが、YouTubeだけの学校じゃない。そうなって欲しい」
■YouTubeアナリスト・関口ケント、YouTuberの育成は「師匠と弟子のような関係」
同校の開校にYouTubeアナリスト・関口ケントは「クリエイターとして全員成功するわけじゃない」とした上で「学校のような場所は必要だ」と話す。
「学校入ったからと言ってみんなが有名YouTuberになれるわけじゃない。作家や声優の専門学校と同じで、きっかけになるだけ。講師陣は優秀な方々ばかりだが、クリエイターとして全員が成功するわけじゃない。(学校に入ったことをきっかけに)どのようなクリエイティブができるかが、すごく大事。動画は中学生でも小学生でも作れる。学校に入ってプラスαで自分が何をするか。『学校に入っただけで安心するんじゃないよ』とは言いたい」
もともとはニコニコ動画の生配信をきっかけに動画業界に足踏み入れた関口氏。関口氏は、テレビのADをやりながら動画の勉強をショートカットするためにYouTubeを始めたという。
「当時はお金にならなかったが、今はお金になってきている。今、YouTuberは先輩と後輩、師匠と弟子のような世界観がある。有名YouTuberの弟子になって、そこから自分のYouTubeを始めていくスタイルが多い。スターを生み出していくにはNSC(吉本総合芸能学院)のような、場所が業界に必要だ。トレンドを追って、SNSのプラットフォームがそれぞれどのようになっているか学ぶ必要もある」
また、関口氏は将来的にYouTuberにならず、YouTuberの“裏方”に回る人材にも言及。
「元々芸人を目指していた人が、放送作家になることもある。それと同じようにYouTuberの裏方になる人も多い。学校に入って、自分の適性も知るのもいいだろう。YouTube業界で(お笑いコンビの)ダウンタウンさんのような人材も出てくるのではないか」
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)
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