7日、大阪府における新型コロナウイルスの新たな感染者は878人だった。前日の719人から100人以上増え、過去最多を更新した。

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 重症病床の使用率は66.5%(6日時点)で、府独自の指標である「大阪モデル」の赤信号が点灯される「70%以上」の基準に早くも到達する見込みだ。「大阪モデル」の赤信号が点灯された場合、大阪府主催イベントの自粛、分散登校や短縮授業の実施、府県間の移動の自粛要請などが求められる。

新型コロナ、東京に忍び寄る変異ウイルス「大阪だけが特別な状況じゃない」 専門家も危機感
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 7日、吉村洋文知事は対策本部会議を開き、医療非常事態宣言を発令。医療体制の非常事態を周知し、感染防止対策の徹底を呼びかけている。

 関西福祉大学の勝田吉彰教授は「これが変異型ウイルスの感染力だ」と警鐘を鳴らす。

「大阪の感染拡大は、世界の主要な流れを追っていくと、まさにそれに乗っている状況だ。WHOが毎週火曜に発表している数字を見ると、6日時点で、日本の“ご近所さん”である中国や韓国、東南アジア、そしてオセアニアを合わせた感染者数が増えていて、地域ごとに分けると2番目に高い。そういった大きな流れに乗っているのが、今の日本であり、大阪の状況だ」

 東京五輪・パラリンピックについても、公道の聖火リレーを中止する意向を示すなど、対応に追われている吉村知事。勝田教授は「大阪だけが特別な状況じゃない」と指摘する。

「大阪で変異型ウイルスの感染が広がっているのは間違いない。大阪だけが特別な状況ではなく、一週間、二週間後には東京で(変異型ウイルスの感染が)増えていると思う。誰しもが警戒しないといけない」

■ 「病床のひっ迫を少しでも遅らせて」ロックダウンを行っても広がる変異ウイルス

新型コロナ、東京に忍び寄る変異ウイルス「大阪だけが特別な状況じゃない」 専門家も危機感
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 東京に迫る変異型ウイルスの魔の手。勝田教授は、変異ウイルスの特徴として「感染のしやすさ」を挙げる。「ジグソーパズルに例えると、ピースと穴が同じ形をしているが、従来株のウイルスは“出来が悪いパズル”だった。今回の変異株は“上等なパズル”だ。身体に入ってこなければいいが、一度身体に入ってしまったら、細胞にとりつきやすい」と危機感を募らせる。

 さらに、感染後の重症化リスクについても、勝田教授は「もともと変異型ウイルス患者は死亡率が高いというデータはあった」とした上で「今は現場実感でそれが分かってきている。現状、軽症、中症の病床よりも先に重症病床が埋まる。つまり、重症化が早いということだ」とコメント。

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「変異型による感染をゼロにするには無理だ。“ロックダウン”を行っても感染が増えている国がある。ただ、まん延防止等重点措置をやることによって、感染拡大を遅らせることはできる。一般へのワクチン接種がまだ始まってない状況で、時間稼ぎをして、病床のひっ迫を少しでも遅らせて準備をする。やる意味はある」

 厳しいロックダウンを行っても、感染が広がる変異ウイルス。新型コロナ対策の研究は各病院、大学に任されているが、どのような状況なのだろうか。勝田教授は「目の前にいる感染者の対応で手一杯のところもある」と明かす。

「研究に費やす余力や時間は非常に限られている。これまで平和の中で過ごしていた日本は、非常事態にパッと動くのが苦手だ。すぐに降りない研究費や人員、資源の問題がある。今回の経験を通じて、次のパンデミックに備えてもっと強い体制を積み上げていかなければいけない」

 東京に迫る変異ウイルスの脅威。引き続き手洗い、うがい、マスクの着用など、基本的な対策の徹底が必要だ。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

【映像】大阪で感染拡大 変異ウイルスの猛威
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