庵野秀明総監督『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は「自分の頭の中でやってもおもしろくない。自分だけで作りたくなかった」
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 公開中の人気映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の舞台挨拶が4月11日、東京・新宿バルト9で行われ、庵野秀明総監督、鶴巻和哉監督、前田真宏監督、主人公・碇シンジ役の緒方恵美が登壇した。シリーズ作品の舞台挨拶に初めて登壇した庵野総監督は、集大成となる作品についての秘話を次々と紹介。先ごろ放送されたドキュメンタリー番組でも、多くのスタッフとともに、厳しいスケジュールの中でもよりよい作品づくりを目指す姿勢が公開されたが「自分の頭の中でやってもおもしろくない。自分だけで作りたくなかった」と、多くの人々の考えを取り込んで完成にたどり着いたと述べた。

【動画】ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

庵野秀明総監督『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は「自分の頭の中でやってもおもしろくない。自分だけで作りたくなかった」

 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』4部作の完結編、さらにはテレビ放送から数えて25年以上となるシリーズ集大成の一本として、新旧のファンから高い支持を集めている。3月8日の公開以来、『エヴァンゲリオン』シリーズとしては初日から過去最高のペースで興行収入・観客動員数を記録。興行収入では、シリーズ初となる70億円を突破したことが発表されている。

 作品づくりについての苦労を聞かれた庵野総監督は、「手で描くものだけにしたくないというのは『:序』からありました。いろいろな技術が上がってくれたので、そういうものができるようになりました」と、従来のアニメでは用いられなかったモーションキャプチャーを始めとする制作についての思いを口にした。さらに「頭の中でできた画面ではない。時間もお金もかかるんですが、自主制作なので(笑)お金をそこに回して。本当に大変なんで、やらない方がいいです」と、笑いながら語るシーンも。庵野総監督を支えてきた鶴巻監督は「(本作は)実写とアニメのハイブリッド。庵野は実写の現場を経験しているけれど、僕やスタッフのかなりの部分は経験したことがなかった」と苦労を振り返った。

庵野秀明総監督『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は「自分の頭の中でやってもおもしろくない。自分だけで作りたくなかった」

 納得のいく作品に向けて、自らの考えを貫き通したという印象も強い庵野監督だが「よく誤解されるんですが」と前置きした上で「他の人の頭の中でどうなるか。いろいろな人の意見を積み重ねた」と強調。それはアフレコ現場でも同様で、鈴原サクラ役の沢城みゆきが重要なシーンを収録した際には、「沢城さんみたいなタイプは、アフレコ前に貯めきって、最初に出しちゃうから」とテスト時のものを採用したと紹介。鶴巻監督も「庵野さんは、どこまで話して、自由にさせるかがうまい。人からも影響を与えてほしいというのは、アフレコにもよく表れていた。シンジの気持ちは、緒方恵美さんに託しているものも多かった」と付け加えた。

 また、作品全体を通して庵野総監督は「エヴァの画面は物語上必要なものと、画として美しいものがある。そこには僕だけじゃなく、メインスタッフの好みが散りばめられていて、世界観を広げている」と、必要ではないものは描かなくていいというアニメの魅力についても言及。監督、スタッフ、キャストら、様々な人の思いが集結してこその『シン・エヴァ』であることを繰り返していた。

庵野秀明総監督『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は「自分の頭の中でやってもおもしろくない。自分だけで作りたくなかった」

◆『エヴァンゲリオン」シリーズ作品

 1995年にテレビシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』がスタート。汎用ヒト型決戦兵器・人造人間「エヴァンゲリオン」と、そのパイロットとなる14歳の少年少女、謎の敵生命体「使徒」との闘いを中心に描かれると、その斬新な設定やストーリーから全26話放送後にも社会現象になるほど注目された。1997年には、テレビシリーズとは異なる結末を描いた『劇場版』が公開に。それから10年後、設定・ストーリーをベースに再構築した『新劇場版』シリーズの公開がスタート。2007年に第1作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』、2009年に第2作『:破』、2012年に第3作『:Q』、そして2021年に最新作にして完結編の第4作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開された。

 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
 絶賛公開中
 総監督:庵野秀明
 (C)カラー

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
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