原発処理水、海洋放出で魚や貝類はどうなる?「海洋水以外も同時進行で調査を」
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(3枚)

 政府は13日、東京電力・福島第一原発のトリチウムなど放射性物質を含む処理水について、海に放出して処分することを正式に決定した。菅総理は「政府が前面に立って処理水の安全性を確保するとともに、風評払拭に向けてあらゆる対策を行う」と述べ、「WHO(世界保健機関)の定める飲料水の基準の7分の1まで低下させる。さらにIAEAなど第三者の目も入れて、高い透明性で監視をする」と語った。

【映像】地上に並べられた福島第一原発の“処理水”タンク(40秒ごろ~)

原発処理水、海洋放出で魚や貝類はどうなる?「海洋水以外も同時進行で調査を」
拡大する

 政府は地元の漁業、観光、農林業を支援し、モニタリングを強化するとしているが、東京工業大学准教授・西田亮介氏は「風評被害を心配する人が出てくるのは当然だ」と話す。

「しかし、希釈した処理水を海洋放出する手法自体は広く行われている。科学的に見て、国の基準やWHOの基準に照らして『安全だ』と、粘り強く説明していくべきだ。多くのステークホルダー(直接・間接的な利害関係に関わる人々)、事業関連の団体が含めてきちんと説明していく必要がある」(以下、西田亮介氏)

原発処理水、海洋放出で魚や貝類はどうなる?「海洋水以外も同時進行で調査を」
拡大する

 同日、処理水の海洋放出の決定を受け、小泉環境大臣も「透明性、客観性を最大限重視したモニタリングを実施する」と国による海水調査の強化に言及。「結果を公表することによって風評影響の抑制につなげたい」と述べている。

 しかし、小泉環境大臣の説明に西田氏は「多くの人が懸念しているのは、口に入るものだ」と指摘。

「小泉環境大臣が言及したのは、海洋水に関するものだが、同時に多くの人が懸念しているのは、魚や貝類など、口に入る食品だ。そういったものが食品として安全であることを、これまで以上にモニタリングして説明を行っていくべき」

 東京電力は風評被害が生じた場合は賠償する方針だが、消費者の心配を払拭するために政府はどのような対策を打てばいいのだろうか。

「新型コロナ対策にも言えることが、調査をして科学的に問題ないと説明するに尽きる。このとき『科学的に安全だ』といくら政府が言っても、政府や行政機関が信用されていなければ、国民は納得しない。処理水の問題だけでない。不祥事や、他の分野の情報の隠蔽が相次いでいる中で『科学的に安全だ』と伝えたところで、国民も、反対する諸外国なども説得は難しいだろう」

 原発の問題に限らず、国民と政府の信頼がなければ、あらゆる対策は成り立たない。政府による海水調査は、結果が出次第、国内外に公表するとしている。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

【映像】原発処理水、薄めて海洋放出処分
【映像】原発処理水、薄めて海洋放出処分
【映像】麻生大臣「飲んでも何ちゅうことない」
【映像】麻生大臣「飲んでも何ちゅうことない」
この記事の画像一覧
この記事の写真をみる(3枚)