狙いすました左カウンターから、パウンドの連打。73秒の圧巻TKO勝利だった。しかし試合直後、リング上で行われたインタビューで、敗者がTKOのジャッジについて「早すぎる。なぜ止められたのか理解できない」など、不満を露わにする一幕がありネットで波紋を呼んでいる。
4月15日にシンガポールで開催されたONE Championship『ONE ON TNT II』のメインカードに登場したクリスチャン・リー(シンガポール / アメリカ) が、ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)と対戦。73秒で見事なTKO勝利を収め、ONEライト級王者の2度目の防衛に成功した。スピードとカウンターなど精度の高い新感覚のファイトスタイルに対して「彼ならUFCでチャンピオンに!」「エディ・アルバレスとの試合が観たい」など、ファンからは最大級の賛辞が寄せられた。
姉のアンジェラ、妹のビクトリアと兄弟揃ってプロ格闘家として注目を浴びるなか、22歳のクリスチャンは日本の青木真也からライト級王座を奪取して以降、ライト級GPを制したザイード・フセイン・アサラナリエフ、初防衛戦でユーリ・ラピクスをTKOで下すなど、ONEで圧倒的な強さと存在感を見せてきた。今回は元UFC王者であるエディ・アルバレスを下し、ONE史上最短とされる“6秒KO男”として知られるロシアのナシューヒンとの対戦となる。
1ラウンド、フルスウィングのナシューヒンの左フックを素早くかわし、低い姿勢からタックルを狙うリー。タックルを切られると、自身のゆったりとした間合いでサークリングしながら相手の攻撃に対してカウンターを狙う。すると、その狙いが的中。ナシューヒンの右フックにカウンターで鋭い左を合わせると、たまらずヒザをついたナシューヒンのバックをとったリーが怒涛のパウンドで右パンチを連打。両手をつきながら一方的に殴られるナシューヒンの姿を確認したレフェリーが試合を止めた。1ラウンド73秒だった。
勝負が決した瞬間をスローで確認すると、ナシューヒンの右を払うように牽制してから、追い討ちで左を振るったリー。フラッシュぎみに相手がバランスを崩すと、一気に畳みかける右の連打でのフィニッシュ。この技ありのカウンターにABEMAの視聴者から「かわしてカウンター、キレイすぎる」「スピードと頭を使うスタイル」など感嘆の声が上がった。
さらに北米のプライムタイムに中継された今回、際立ったインパクトを残したリーについてファンからは「数えたら14発もパウンドで殴ってた。レフェリーの判断を支持する」「素晴らしいカウンターだな」「彼ならUFCで王者になれるだろう」「次はエディ・アルバレスとの試合が観たい」といった反響が多数寄せられた。
なお勝利したリーは試合後に「もう直ぐ僕は父親になるから、生まれてくる子どもと妻に勝利を捧げたかった」と特別な気持ちで臨んだ防衛戦だったことを明かしている。
この圧巻TKOにABEMAで解説を務めた大沢ケンジが「文句なし(の防衛)強いですね」と舌を巻く一方で、ひとり不満だったのが敗れたナシューヒン。試合後にはレフェリーに食い下がる場面も見られ、インタビューでその真意を聞かれると「何であんなに早く止められたか理解できないよ」など、不貞腐れた様子で逆ギレ気味に再び抗議を行ったが、このナシューヒンの態度に対してファンからは「あれだけノーガードで一方的なら止める」「ボッコボコだった。出来たならもっと対処するべき」などの厳しい声が聞かれていた。